経理・税務ガイド

カレー屋の年間税務カレンダー【2026年版】

申告前提

個人事業主・12月決算を前提

月別イベント

17

カレー屋経営者の皆様、日々の仕込みや接客で忙しい中でも、税務は避けて通れない重要な業務です。この年間税務カレンダーでは、個人事業主・法人を問わず、カレー屋特有の経費計上ポイントや届出のタイミング、確定申告・消費税申告のスケジュールを月別に解説します。スパイスの棚卸、デリバリー手数料、グリストラップ清掃費用など、見落としがちなポイントも網羅。計画的な税務処理で、本業に集中できる環境を整えましょう。個別の税務判断は税理士にご相談ください。

1月

年末年始の営業を終え、仕込みや清掃で忙しい時期ですが、税務書類の整理も計画的に進めましょう。

最重要

前年分の法定調書提出

給与支払報告書や不動産の使用料等の支払調書など、前年中に支払った報酬に関する法定調書を税務署に提出します。従業員への給与支払いや、特定の専門家への業務委託費などがある場合に必要です。

1月31日税務署

スパイスの専門家やレシピ開発の協力者など、外部委託がある場合は支払調書の提出が必要になることがあります。支払額を事前に確認しましょう。

給与支払報告書報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書
重要

償却資産申告書提出

事業用の土地・家屋以外の資産(厨房機器、ナン焼き窯、業務用炊飯器など)について、1月1日時点の所有状況を市町村に申告します。固定資産税の計算に用いられます。

1月31日市町村

業務用炊飯器や大型寸胴鍋、ナン焼き窯など、カレー屋特有の高額な厨房設備は忘れずに申告してください。減価償却資産の計上漏れがないか確認しましょう。

償却資産申告書

2月

閑散期になりやすい時期なので、税務書類の整理や会計処理に時間を割く良い機会です。仕込みの合間に進めましょう。

最重要

確定申告の準備本格化

1月中に揃えた資料をもとに、確定申告書の作成を本格的に進めます。会計ソフトへの入力漏れがないか確認し、青色申告決算書や収支内訳書を作成します。

3月15日まで自宅または税理士事務所

特にスパイスや食材の棚卸資産の評価額は、仕入高に大きく影響します。年末の在庫を正確に把握できているか再確認しましょう。

3月

今月
最重要

所得税確定申告・納税

前年1月1日から12月31日までの所得について、税務署に確定申告書を提出し、所得税を納税します。青色申告の方は青色申告決算書も添付します。

3月15日税務署

まかないや試作で消費したスパイスや食材は「自家消費」として売上計上されているか確認してください。計上漏れは税務調査で指摘される可能性があります。

所得税確定申告書青色申告決算書
最重要

消費税申告・納税(課税事業者)

消費税の課税事業者である場合、前年分の消費税を税務署に申告し、納税します。インボイス制度により、仕入れ時の消費税額控除の適用には適格請求書の保存が必須です。

3月31日税務署

スパイス専門商社や食材卸業者からの仕入れでは適格請求書を受領・保存しているか確認が必要です。デリバリープラットフォームの手数料についてもインボイス対応を確認しましょう。

消費税申告書
重要

個人事業税の申告

一定の事業所得がある個人事業主は、都道府県に個人事業税を申告します。所得税の確定申告書を提出すれば、別途申告は不要な場合が多いです。

3月15日都道府県税事務所

飲食業は個人事業税の対象業種です。所得税の確定申告書に記載漏れがないか確認しましょう。

4月

春になり、新生活が始まる時期。新しいメニュー開発やテイクアウト・デリバリー戦略を見直す良い機会です。

新年度の会計帳簿開始

確定申告が終わり、新たな会計年度が始まります。会計ソフトの年度を切り替え、日々の取引を正確に記帳する体制を整えましょう。

4月1日以降会計ソフト

仕入れ伝票やレシート、デリバリープラットフォームからの決済明細など、日々の取引証拠をこまめに整理する習慣をつけましょう。特にスパイスは少量でも高価なものが多いです。

5月

納税状況の確認

3月に申告・納税した所得税や消費税が、予定通り引き落とされているか、または納付が完了しているかを確認します。納税証明書の取得が必要な場合もあります。

随時金融機関、税務署

納税資金の確保は重要です。特に売上が変動しやすいカレー屋では、キャッシュフロー管理を意識し、余裕を持った資金計画を立てましょう。

6月

梅雨時期は客足が鈍ることも。デリバリーやテイクアウトの強化、限定メニューの提供で売上を維持する工夫が求められます。

上半期の経営状況確認

上半期(1月〜6月)の売上や経費の状況を振り返り、当初の事業計画と実績を比較検討します。特に利益率や原価率を分析し、下半期の経営戦略に活かします。

6月末まで会計帳簿

スパイスや食材の原価率、テイクアウト容器などの消耗品費、デリバリー手数料が適切か確認しましょう。夏の需要に向けてメニューの調整も検討します。

7月

最重要

源泉所得税の納付(納期特例者)

従業員がいる場合、1月から6月までに源泉徴収した所得税を税務署に納付します。納期特例の承認を受けている場合、年2回(7月と1月)の納付となります。

7月10日税務署

ホールスタッフや調理補助のアルバイトを雇用しているカレー屋は、この納付を忘れないようにしましょう。給与計算ソフトで正確な金額を算出してください。

所得税徴収高計算書
重要

労働保険の年度更新

従業員を雇用している事業主は、前年度の賃金総額に基づき労働保険料を計算し、納付します。継続して雇用保険・労災保険に加入するための手続きです。

7月10日労働基準監督署、ハローワーク

特に繁盛期に合わせて一時的にアルバイトを増やす場合など、雇用状況の変化に応じて賃金総額が変動することに注意が必要です。

労働保険料等算定基礎賃金集計表

8月

夏はカレーの需要が高まる時期。厨房の設備トラブルは致命的になるため、事前の点検が肝心です。

固定資産の確認とメンテナンス計画

厨房機器やナン焼き窯などの固定資産の状態を確認し、大規模な修繕や買い替えが必要になる場合の資金計画や減価償却について検討を始めます。

随時会計帳簿

ルーを長時間煮込む寸胴鍋や業務用炊飯器は消耗が激しいため、定期的なメンテナンスや修繕費の計上、必要に応じた買い替え計画が重要です。グリストラップの清掃費用も忘れずに計上しましょう。

9月

重要

インボイス制度対応状況の最終確認

仕入れ先からの適格請求書の受領状況や、自らが発行する請求書の適格請求書要件を満たしているかなど、インボイス制度への対応状況を最終確認します。

随時会計帳簿、取引先

スパイス専門商社や特定の食材卸業者からの仕入れが多いカレー屋にとって、インボイスの保存は消費税の仕入税額控除を受ける上で不可欠です。未対応の取引先がないか確認しましょう。

10月

秋の行楽シーズンに向けて、テイクアウトやデリバリーの需要が高まることも。販促活動と並行して税務準備を進めましょう。

重要

年末調整の準備(従業員がいる場合)

従業員がいる場合、年末調整に向けて必要な書類(扶養控除等申告書、保険料控除申告書など)の準備を始めます。従業員に配布し、早めに回収できるよう準備します。

11月〜12月にかけて従業員

特にパート・アルバイトが多いカレー屋では、年末調整の対象者や提出書類の回収漏れがないよう、丁寧な対応が求められます。

扶養控除等申告書保険料控除申告書

11月

確定申告に向けた事前確認

年間の収支を概算し、確定申告で必要となる書類やデータの整理を始めます。特に高額な経費や減価償却資産の計上漏れがないか確認します。

12月末まで会計帳簿

スパイスや特定の高級食材、業務用米など、仕入れ量や価格が変動しやすい項目は、帳簿と実際の在庫を照合し、年度末の棚卸に備えましょう。

12月

クリスマスや年末年始の特別メニュー提供などで多忙を極める時期。棚卸は計画的に、営業に支障がない時間帯を選んで行いましょう。

最重要

年末調整の実施(従業員がいる場合)

従業員から提出された書類に基づき、所得税の過不足を精算する年末調整を行います。年末調整が完了したら、源泉徴収票を作成・交付します。

12月末まで税務署、従業員

年末の繁忙期と重なるため、計画的に進めることが重要です。給与計算ソフトの活用で効率化を図りましょう。

源泉徴収票
最重要

棚卸資産の確認と評価

年末時点で残っているスパイス、肉、野菜、米などの食材、テイクアウト容器などの消耗品を棚卸し、正確な在庫数を把握します。これは翌年度の仕入原価に影響します。

12月31日時点店舗在庫

特にホールスパイスは種類が多く、高価なものもあるため、一つ一つの数量と評価額を丁寧に確認しましょう。自家消費分との区分も明確に。

年間まとめ

カレー屋の年間税務は、スパイスや食材の仕入れ、デリバリー対応、厨房設備の維持など、業種特有の会計処理が求められます。特に棚卸資産の正確な評価や自家消費の計上、インボイス制度への対応は、日々の記帳から確定申告まで一貫して重要です。年間を通じて計画的に帳簿を整理し、必要な届出や申告を期限内に行うことで、税務上のリスクを最小限に抑え、本業である美味しいカレー作りに専念できるでしょう。不明な点は必ず税理士にご相談ください。

確定申告に向けた準備スケジュール

1

会計ソフトへの入力漏れチェックとレシート・領収書の整理

2

年末時点のスパイス・食材の棚卸を実施し、棚卸表を作成

3

固定資産台帳の確認と減価償却費の計算準備

4

青色申告決算書(または収支内訳書)の作成と確定申告書の最終確認

プロのアドバイス

  • **スパイスの棚卸は特に念入りに。** ホールスパイスや特定の高級食材は高価なものが多いため、年末の棚卸で正確な在庫数と評価額を把握することが、仕入高の適正な計上に直結します。自家消費分との区別も明確にしましょう。
  • **まかない・試作は自家消費として計上。** スタッフのまかないや新メニュー開発のための試作で使った食材は、事業主のプライベートな消費とみなされ「自家消費」として売上に計上する必要があります。計上漏れがないか確認してください。
  • **デリバリープラットフォーム手数料の会計処理。** Uber Eatsや出前館などの手数料は、売上から差し引かれて入金されることが多いため、総売上と手数料(支払手数料)を分けて記帳しましょう。適格請求書の発行有無も確認が必要です。
  • **グリストラップ清掃費用は修繕費で計上。** 飲食店に設置が義務付けられているグリストラップの定期的な清掃費用は、設備の維持管理に必要な経費として「修繕費」で計上できます。領収書を忘れずに保管しましょう。
  • **レトルトカレー等製造販売時の許可と経費区分。** 店内飲食とは別にレトルトカレーや冷凍カレーを製造販売する場合、別途「食品製造業許可」が必要な場合があります。製造に関わる材料費や設備費は、飲食店部門と分けて管理することを検討し、税理士に相談しましょう。

免責事項:この情報は一般的な参考情報であり、個別の税務判断を提供するものではありません。具体的な税務上の判断については、税理士等の専門家にご相談ください。