訪問介護事業所の税務・経理FAQ【2026年版】
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20問
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訪問介護事業所の運営は、利用者様の生活を支える重要な仕事である一方で、複雑な経理・税務処理が伴います。特にヘルパーの人件費管理、移動交通費の適切な処理、介護報酬の非課税売上計上、そして最新のインボイス制度への対応など、専門的な知識が求められる場面が多々あります。本FAQでは、訪問介護事業を営む皆様が日々の経理業務で直面する疑問を解消し、スムーズな事業運営をサポートするための情報を提供します。正確な知識を身につけ、安心して事業に専念できるよう、ぜひご活用ください。
経費・仕訳に関するよくある質問
訪問介護員の利用者宅への移動にかかる交通費は「旅費交通費」として計上します。実費精算の場合は非課税ですが、定額支給や一律手当として支給する場合は給与所得と見なされ課税対象となる可能性があります。公共交通機関利用料、ガソリン代などが該当します。仕訳時には、移動日、区間、金額、目的を明確に記録することが重要です。
出典: 国税庁 タックスアンサー No.2582 旅費手当
介護記録、シフト管理、国保連への請求業務に利用する介護ソフトの月額利用料は、一般的に「消耗品費」や「事務用品費」として計上します。年間契約で費用が高額になる場合は「支払手数料」や「リース料」として処理することもあります。ソフトウェアの購入費用であれば「無形固定資産」として減価償却の対象となる場合があります。
個人事業主が自宅の一部を事業所として利用する場合、家賃、電気代、ガス代、水道代、通信費などは、事業で使用している割合に応じて「家事按分」して経費計上できます。按分方法は、使用面積の割合や使用時間の割合など、合理的な基準に基づいて行い、明確な根拠を説明できるようにしておく必要があります。例えば、事務所として使用している部屋の面積割合や、事業に使った時間の割合で計算します。
出典: 国税庁 タックスアンサー No.2210 やや複雑な家事関連費
税理士にご相談ください
この項目は個別の状況により判断が異なります。税理士等の専門家にご相談されることをお勧めします。
事業所の開設準備にかかった費用(物件調査費、研修費、指定申請費用など)は「開業費」として計上できます。開業費は繰延資産の一種で、税法上の償却期間は定められておらず、支出した年から5年間で任意償却が可能です。これにより、開業当初の利益が少ない時期でも効果的に経費として計上し、節税につなげることができます。
出典: 国税庁 タックスアンサー No.5400 開業費
介護職員初任者研修や実務者研修の受講費用補助、外部講師を招いて行う社内研修費用、サービス提供責任者向けの研修参加費などは、「研修費」として経費計上できます。職員のスキルアップは介護サービスの質向上に直結し、介護報酬の加算要件にもなるため、積極的に投資すべき経費です。領収書や研修内容がわかる資料を保管しましょう。
確定申告に関するよくある質問
介護保険法に基づく訪問介護サービスから得られる介護報酬は、原則として「非課税売上」として処理します。利用者様からの自己負担金も非課税です。これは、社会政策的な配慮から非課税とされているためです。ただし、保険外サービス(自費サービス)を提供している場合は、その売上は課税売上となるため、明確に区分して計上する必要があります。
出典: 消費税法別表第二
青色申告を選択することで、最大65万円の青色申告特別控除が受けられます。これにより所得税・住民税の負担を軽減できます。また、赤字を翌年以降3年間繰り越せる「純損失の繰越控除」や、家族への給与を必要経費にできる「青色事業専従者給与」などのメリットがあります。複式簿記での記帳が要件となりますが、会計ソフトを使えば比較的容易です。
出典: 国税庁 タックスアンサー No.2070 青色申告制度
個人事業主の確定申告では、売上や経費をまとめた帳簿(現金出納帳、預金出納帳、仕訳帳、総勘定元帳など)、医療費や社会保険料の控除証明書、生命保険料控除証明書、ふるさと納税の寄付金受領証明書、住宅ローン控除関連書類などが必要です。青色申告の場合は、貸借対照表と損益計算書も作成します。日頃からこれらの書類を整理しておくことが重要です。
インボイス制度に関するよくある質問
訪問介護事業所の主な売上である介護報酬は非課税取引のため、利用者や国保連に対して適格請求書(インボイス)を発行する必要はありません。そのため、インボイス制度による売上側の影響は限定的です。しかし、事業所が課税事業者から仕入れる介護用品、清掃サービス、車両整備費などについては、仕入れ税額控除を受けるために適格請求書の保存が必要になります。
出典: 国税庁 適格請求書等保存方式の概要
原則として、介護報酬が非課税売上である訪問介護事業所は、適格請求書発行事業者登録をする必要性は低いと言えます。登録は課税事業者が仕入れ税額控除のために行うものであり、非課税売上が主体の事業では登録のメリットがほとんどありません。ただし、保険外サービス(自費サービス)など課税売上が発生し、取引先が課税事業者の場合は、登録を検討するケースもあります。
税理士にご相談ください
この項目は個別の状況により判断が異なります。税理士等の専門家にご相談されることをお勧めします。
訪問介護事業所の多くは介護報酬が非課税売上であるため、課税売上が1,000万円以下であれば免税事業者となります。免税事業者は適格請求書を発行できないため、取引先の課税事業者は仕入れ税額控除ができません。ただし、訪問介護事業所の場合、主な取引先は利用者や国保連であり、彼らは仕入れ税額控除を求めることは稀なので、免税事業者のままで問題ないケースがほとんどです。
届出・手続きに関するよくある質問
個人事業主として訪問介護事業を開始する場合、「個人事業の開業届出書」を税務署に提出します。青色申告の特別控除を受けたい場合は、開業日から2ヶ月以内(またはその年の1月15日まで)に「青色申告承認申請書」も提出が必要です。これらの届出をすることで、税法上の事業主として認められ、適切な税務処理が可能になります。
出典: 国税庁 個人事業の開業届出・廃業届出等手続
従業員である訪問介護員(ヘルパー)を雇用し給与を支払う場合、「給与支払事務所等の開設届出書」を税務署に提出する必要があります。また、給与から源泉徴収した所得税を年2回にまとめて納付できる「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」(従業員が常時10人未満の場合)も提出を検討すると、事務負担を軽減できます。
出典: 国税庁 給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書
特定事業所加算は、質の高いサービス提供体制を評価する介護報酬の加算であり、取得には都道府県知事への届出が必要です。要件には、サービス提供責任者の常勤配置、計画的な研修実施、緊急時対応体制の整備などがあります。税務上の届出ではありませんが、事業所の収益に大きく影響するため、要件を満たしたら速やかに届出を行いましょう。詳細な要件は各自治体の介護保険課に確認が必要です。
出典: 介護保険法に基づく指定訪問介護事業者の指定基準
税理士にご相談ください
この項目は個別の状況により判断が異なります。税理士等の専門家にご相談されることをお勧めします。
減価償却に関するよくある質問
通院等乗降介助などで使用する社用車は、減価償却資産として数年かけて費用化します。車両の種類(普通自動車、軽自動車など)や新車・中古車によって法定耐用年数(普通自動車で6年など)が異なり、償却方法(定額法、定率法)を選択して計算します。取得価額が30万円未満であれば、少額減価償却資産の特例を利用して一括で経費計上できる場合があります(青色申告法人等、一定の要件あり)。
出典: 国税庁 耐用年数(車両運搬具)
税理士にご相談ください
この項目は個別の状況により判断が異なります。税理士等の専門家にご相談されることをお勧めします。
事業所で使用するパソコンやプリンターなどの事務用機器は、取得価額が10万円以上の場合、原則として減価償却資産となり、法定耐用年数(パソコンは4年、プリンターは5年など)に応じて数年かけて費用計上します。10万円未満であれば「消耗品費」として一括で経費計上できます。また、青色申告事業者であれば30万円未満の資産を「少額減価償却資産の特例」で一括経費にできます。
出典: 国税庁 タックスアンサー No.5408 少額の減価償却資産になるもの
青色申告をしている中小企業者等(常時使用する従業員の数が500人以下の法人等)が、取得価額30万円未満の減価償却資産を購入した場合、「少額減価償却資産の特例」を利用して、年間合計300万円まで一括で経費計上できます。これにより、購入した年の節税効果を高めることが可能です。介護用品や事務用什器、小型の医療機器などが該当する場合があります。
出典: 国税庁 タックスアンサー No.5408 少額の減価償却資産になるもの
税理士にご相談ください
この項目は個別の状況により判断が異なります。税理士等の専門家にご相談されることをお勧めします。
その他、経理・税務に関する質問
訪問介護事業所が加入する、利用者への事故や損害に対する「事業所賠償責任保険」の保険料は、「損害保険料」として全額経費計上できます。万が一の事態に備えるための必要不可欠な経費であり、安心してサービスを提供するためにも適切な保険への加入が推奨されます。
国や地方公共団体から支給される助成金や補助金は、その性質によって課税対象となるものと非課税となるものがあります。例えば、雇用関係の助成金は収益として課税対象となることが多く、「雑収入」として計上します。一方、特定の設備投資に対する補助金は、圧縮記帳の適用で課税を繰り延べられる場合があります。受給時には必ず課税関係を確認しましょう。
税理士にご相談ください
この項目は個別の状況により判断が異なります。税理士等の専門家にご相談されることをお勧めします。
法人であれば帳簿書類は7年間、個人事業主で青色申告の場合は原則7年間(現金預金取引等関係書類は5年間)、白色申告の場合は5年間の保存義務があります。また、消費税の課税事業者の場合は、課税仕入れ等に関する帳簿や請求書等も7年間保存する必要があります。指定訪問介護事業所としては、介護保険法に基づく記録の保存期間も別途定められています。
出典: 国税庁 記帳義務と帳簿書類等の保存
この情報は一般的な参考情報であり、個別の税務判断を提供するものではありません。具体的な税務上の判断については、税理士等の専門家にご相談ください。
免責事項:この情報は一般的な参考情報であり、個別の税務判断を提供するものではありません。具体的な税務上の判断については、税理士等の専門家にご相談ください。