経理・税務ガイド

居酒屋の減価償却計算ツール【2026年版】

居酒屋の開業・経営において、厨房設備、内装工事、ビールサーバーといった高額な固定資産への投資は避けられません。これらの資産は、一度に全額を経費にすることはできず、「減価償却」という会計処理を通じて、数年間にわたって少しずつ経費計上していく必要があります。適切に減価償却を行うことで、毎年の所得税や法人税の負担を軽減し、資金繰りを安定させることが可能です。このツールでは、居酒屋経営者が知っておくべき主要な減価償却対象資産や、少額資産の特例、計算方法について詳しく解説します。あなたの居酒屋の資産を正しく理解し、賢く税務対策を進めましょう。

減価償却シミュレーション

資産区分: 飲食店業用設備

一般的な価格帯: 200〜500万円

償却方法

主要資産の耐用年数一覧

厨房設備一式(コンロ、シンク、調理台など)

8

区分: 飲食店業用設備

価格帯: 200〜500万円

居酒屋の心臓部であり、投資額も大きい主要資産です。衛生管理や調理効率維持のための修繕費との区別が重要です。

中小企業者等の少額減価償却資産の特例(30万円未満)の適用は稀だが、一部の小型調理器具には適用可能性あり。

ビールサーバー

8

区分: 器具備品

価格帯: 20〜50万円/台

リース契約が多いですが、購入した場合は減価償却が必要です。定期的な洗浄や部品交換費用は修繕費として計上します。

中小企業者等の少額減価償却資産の特例(30万円未満)の適用が可能。

グリストラップ

15

区分: 建物附属設備(給排水設備)

価格帯: 50〜100万円

食品衛生法で設置が義務付けられる設備です。定期的な清掃費用は修繕費ですが、設置工事は建物附属設備として償却します。

内装工事

10

区分: 建物(内装造作)

価格帯: 300〜1,000万円

居酒屋のコンセプトを表現する重要な部分で、投資額が高額になりがちです。建物本体と区分して償却します。

冷蔵・冷凍庫(業務用)

6

区分: 電気冷蔵庫・冷凍庫

価格帯: 30〜100万円

食材の鮮度保持に不可欠な設備です。電気代も高くなるため、省エネ性能も考慮しつつ、適切に償却しましょう。

中小企業者等の少額減価償却資産の特例(30万円未満)の適用が可能。

POSレジシステム

5

区分: 事務機器

価格帯: 50〜150万円

売上管理や在庫管理の効率化に貢献します。ソフトウェア部分とハードウェア部分で耐用年数が異なる場合があります。

中小企業者等の少額減価償却資産の特例(30万円未満)の適用が可能。

テーブル・椅子

8

区分: 器具備品(家具)

価格帯: 10〜50万円/セット

客席の雰囲気作りに重要です。単品が高額でなければ消耗品費として処理できる場合もあります。

中小企業者等の少額減価償却資産の特例(30万円未満)の適用が可能。

少額資産の特例

10万円未満

消耗品費として一括経費

対象例: 小型の調理器具、食器、グラス、カトラリー、ユニフォームなど

10万円以上20万円未満

一括償却資産として3年間で均等償却

対象例: 高機能のミキサー、小型のオーブン、高級な酒器セットなど

10万円以上30万円未満

少額減価償却資産の特例で一括経費(青色申告法人等、年間300万円まで)

対象例: 業務用冷蔵庫、製氷機、高額なビールサーバー、POSレジの周辺機器など

償却方法の比較

定額法

定額法は、資産の取得価額から残存価額(原則ゼロ)を差し引いた金額を、法定耐用年数で均等に分割して毎年償却していく方法です。毎年同じ額を経費計上するため、会計処理がシンプルで、将来の利益計画が立てやすいという特徴があります。

定率法

定率法は、未償却残高に一定の償却率を乗じて減価償却費を計算する方法です。初年度に多くの減価償却費を計上できるため、開業初期の税負担を軽減する効果が期待できます。年々償却額が減少していくため、会計処理は定額法よりも複雑になります。

居酒屋では初期投資が大きくなる傾向があるため、開業初期の税負担を軽減するために「定率法」の選択を推奨します。特に多額の厨房設備や内装工事を行った場合、定率法により早い段階で大きな経費を計上できるメリットは大きいです。ただし、会計処理の安定性や将来の利益計画の立てやすさを重視するなら「定額法」も有効です。どちらが自社に適しているか、税理士と相談して決定しましょう。

プロのアドバイス

  • ビールサーバーはリースか購入か慎重に検討: ビールサーバーはリース契約が一般的ですが、購入する場合は減価償却の対象です。リースの場合はリース料が経費、購入の場合は減価償却費と固定資産税が発生するため、総コストと税務メリットを比較検討しましょう。
  • 内装工事は「建物」「建物附属設備」「器具備品」に区分: 内装工事費用は一括りではなく、電気設備(照明、配線)、給排水設備(グリストラップ、シンク)、造作(壁、床、カウンター)など、法定耐用年数が異なる資産に細分化して償却することで、より正確な経費計上が可能です。
  • 中古資産の耐用年数計算をマスター: 居酒屋ではコスト削減のため中古の厨房機器や什器を導入するケースも多いでしょう。中古資産の耐用年数は、その資産の残存使用可能期間を合理的に見積もるか、簡便法(法定耐用年数-経過年数+経過年数の20%)で計算します。
  • 少額減価償却資産の特例を最大限活用: 青色申告の個人事業主や中小企業者等は、取得価額30万円未満の減価償却資産を年間合計300万円まで一括で経費にできます。高額な冷蔵庫や製氷機、POSレジシステムなどを導入する際に、この特例を見落とさないようにしましょう。
  • 修繕費と資本的支出の線引きを明確に: グリストラップの定期清掃やビールサーバーの部品交換は「修繕費」として一括経費になりますが、店舗の大規模な改修や資産価値を高める改良は「資本的支出」として減価償却の対象となります。この区別を誤ると税務調査で指摘される可能性があります。

よくある失敗

  • リース物件を自社資産として減価償却してしまう: ビールサーバーや製氷機、食器洗浄機などはリース契約が多いですが、所有権が自社にないリース物件は減価償却の対象外です。リース料を支払っている場合は、リース料として経費計上します。
  • 修繕費と資本的支出を混同する: グリストラップの通常の清掃費用は修繕費としてその期の経費ですが、グリストラップの全面的な交換や容量アップなどの改良は資本的支出となり、減価償却の対象です。誤った処理は税務上のリスクになります。
  • 少額減価償却資産の特例の適用要件を見落とす: 30万円未満の資産を一括経費にできる特例は、青色申告者かつ中小企業者等に限定され、年間300万円の上限があります。これらの要件を満たしているか、また上限を超えていないかを確認せずに適用すると誤りになります。
  • 内装工事を一括で「消耗品費」として処理してしまう: 数百万単位になる居酒屋の内装工事費用は、原則として建物や建物附属設備として減価償却が必要です。一括で消耗品費とすることはできません。

免責事項:この情報は一般的な参考情報であり、個別の税務判断を提供するものではありません。具体的な税務上の判断については、税理士等の専門家にご相談ください。