経理・税務ガイド

ネットショップ(EC)の年間税務カレンダー【2026年版】

申告前提

個人事業主・12月決算を前提としていますが、法人や他の決算期の場合も参考にご活用いただけます。

月別イベント

19

ネットショップ(EC)を運営する個人事業主や中小企業の皆様へ。日々の商品管理や集客に追われる中で、税務申告のスケジュールを把握し、適切な経理処理を行うことは非常に重要です。この年間税務カレンダーでは、確定申告や消費税申告、インボイス制度対応、棚卸など、ネットショップ特有の税務イベントを月別にまとめています。適切なタイミングで準備を進め、安心して事業に専念できるよう、ぜひご活用ください。特に、決済手数料や広告費、物流費などEC特有の経費計上を見落とさないよう注意が必要です。

1月

最重要

法定調書合計表・給与支払報告書の提出

前年分の法定調書合計表と給与支払報告書(従業員がいる場合)を税務署と市区町村に提出します。外部デザイナーやライターへの報酬も対象となる場合があります。

1月31日税務署、市区町村

インフルエンサーへの報酬や商品撮影の外注費など、EC運営で発生する外部協力者への支払いも対象になるか確認しましょう。

法定調書合計表給与支払報告書
重要

償却資産税の申告

事業用の固定資産(撮影機材、PC、倉庫の棚など)がある場合、その償却資産を市区町村に申告します。初年度は取得した年の翌年1月31日までです。

1月31日市区町村

高額な商品撮影用カメラや照明器具、梱包機械なども対象となるため、漏れなく計上しましょう。

償却資産申告書

2月

最重要

確定申告の本格的な準備

前年の売上・経費データの最終確認と集計を行います。ECプラットフォームからの販売レポートや広告費、物流費の請求書を整理しましょう。

期間中自己準備

Amazon、楽天市場、Shopifyなどの各プラットフォームからダウンロードできるレポートを活用し、売上や手数料を正確に把握することが重要です。

重要

棚卸資産の最終確認

年末に行った棚卸の結果を再確認し、売上原価に正しく反映されているかチェックします。評価方法(最終仕入原価法など)に則っているか確認しましょう。

期間中自己確認

FBA倉庫や自社倉庫にある在庫だけでなく、ドロップシッピング契約で預けている商品の扱いも確認が必要です。

3月

今月
最重要

所得税の確定申告・納税

前年分の所得税の確定申告書を提出し、税金を納めます。青色申告特別控除の適用を受ける場合は、複式簿記での記帳が必要です。

3月15日税務署

ECサイト構築費や撮影機材などの減価償却費、広告宣伝費、荷造運賃など、EC事業特有の経費を漏れなく計上しましょう。個別の経費計上可否は税理士に相談してください。

所得税確定申告書青色申告決算書
最重要

消費税の確定申告・納税

課税事業者である場合、前年分の消費税の確定申告書を提出し、税金を納めます。インボイス制度により仕入税額控除の要件が変わっています。

3月31日税務署

BtoC取引が主でも、BtoB卸販売や特定のプラットフォーム手数料でインボイスが必要な場合があります。仕入先からのインボイス保存も徹底しましょう。

消費税確定申告書

4月

新年度の経費・売上計画見直し

確定申告が終わり、新たな事業年度が実質的にスタートします。前年の実績を基に、広告費予算、仕入れ計画、物流コストの見直しを行いましょう。

期間中自己計画

新たなECプラットフォームへの出店や、越境EC展開を検討する場合、それに伴う税務上の影響も事前に確認しましょう。

5月

自動車税・軽自動車税の納付

事業用車両を所有している場合、自動車税または軽自動車税の納税通知書が届きます。期限までに納付しましょう。

5月末日都道府県税事務所、市区町村

商品の仕入れや発送に利用する車両の場合、経費として計上可能です。

納税通知書

6月

個人事業税の納税通知書が届く

個人事業税の納税通知書が都道府県税事務所から送付されます。事業所得が290万円を超える場合に課税されます。

期間中都道府県税事務所

EC事業の所得が増えるにつれて個人事業税の対象となる可能性が高まります。税額の確認をしましょう。

7月

重要

源泉所得税の納付(納期特例適用者)

従業員や外部の専門家(デザイナー、カメラマン等)への報酬から源泉徴収した所得税を、1月~6月分まとめて納付します。

7月10日税務署

商品撮影を依頼したフリーランスのカメラマンやECサイトのデザインを依頼したWebデザイナーへの報酬も源泉徴収の対象となることがあります。

所得税徴収高計算書
重要

所得税の予定納税(第1期分)

前年の所得税額が一定額以上の場合、その年の所得税の一部を事前に納付します。通知書が届いたら忘れずに対応しましょう。

7月31日税務署

EC事業が好調で所得が増加した場合、予定納税が発生する可能性が高まります。資金計画に含めておきましょう。

予定納税額の通知書
重要

消費税の中間申告・納税(該当者のみ)

前年の消費税額が一定額を超えた事業者は、中間申告と納税が必要です。国税庁からの通知書を確認してください。

7月31日税務署

EC事業の規模拡大に伴い、消費税の中間申告が必要になる場合があります。課税売上高を定期的に確認しましょう。

消費税中間申告書

8月

上半期の事業実績と税務状況の確認

上半期(1月〜6月)の売上、経費、利益を中間的に確認し、年間の税額を見積もる良い機会です。下半期の仕入れや広告戦略に役立てましょう。

期間中自己確認

夏季商戦やセール期間中の売上・返品状況、それに伴う広告費や物流費の変動を分析し、利益率を再確認しましょう。

9月

個人事業税の納付(第1期分)

個人事業税の第1期分を納付します。納税通知書に記載された期限までに納めましょう。

9月30日都道府県税事務所

EC事業の収益状況を考慮し、納税資金を確保しておきましょう。

納税通知書

10月

重要

インボイス制度対応状況の再確認

インボイス制度が本格導入されてから1年が経過します。仕入先からの適格請求書の受領状況や、自社発行のインボイス対応を再確認しましょう。

期間中自己確認

特にBtoBの卸販売を行っているEC事業者は、取引先へのインボイス発行体制を改めてチェックし、漏れがないようにしましょう。

11月

重要

所得税の予定納税(第2期分)

所得税の予定納税の第2期分を納付します。第1期同様、通知書に従って期限までに納めましょう。

11月30日税務署

年末商戦に向けて資金が必要になる時期です。予定納税額を考慮した資金繰り計画が重要です。

予定納税額の通知書

12月

最重要

期末棚卸の実施と決算準備

年末の在庫を正確にカウントし、評価額を確定します。この棚卸結果が翌年の確定申告における売上原価に直結するため、非常に重要です。

期間中自己実施

FBAや外部倉庫を利用している場合は、倉庫からの在庫レポートを入手し、実地棚卸との突合も検討しましょう。

重要

年末調整の実施(従業員がいる場合)

従業員がいる場合、年末調整を行います。従業員から各種控除申告書を回収し、所得税の過不足を精算します。

期間中税務署

パート・アルバイトスタッフが多く、雇用形態が多様なEC事業では、年末調整の対象者を正確に把握することが大切です。

給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
重要

年間経費の最終確認と整理

年間の広告費、決済手数料、物流費、通信費、消耗品費など、すべての経費を最終確認し、領収書や請求書を整理します。漏れがないか入念にチェックしましょう。

期間中自己確認

返品された商品の送料や、自家消費した商品の計上忘れがないか、EC事業特有の経費項目を重点的に確認しましょう。

年間まとめ

ネットショップ運営では、売上計上時期、期末棚卸、多岐にわたるプラットフォーム手数料や広告費の適切な仕訳が年間を通じて重要です。特にインボイス制度の影響は仕入先や販売形態によって異なるため、常に最新情報を確認し、計画的な税務処理を心がけましょう。

確定申告に向けた準備スケジュール

1

棚卸計画の策定と実施:期末在庫の正確な数量と評価額を把握し、棚卸資産の評価方法を確認する。

2

経費領収書の整理と仕訳:ECプラットフォームの手数料明細、広告費、物流費、決済手数料など、EC特有の経費を漏れなく集計し仕訳する。

3

売上データの集計と確認:各ECプラットフォームからの売上データを最終確認し、返品・返金処理も適切に反映されているかチェックする。

4

クラウド会計ソフトへの入力完了と最終確認:freee会計などのクラウド会計ソフトでデータ入力の漏れがないか確認し、確定申告書作成の準備を整える。

プロのアドバイス

  • 売上計上は「総額」で、プラットフォーム手数料は「支払手数料」として計上する。入金額だけで売上を計上しないよう注意。
  • FBA(フルフィルメント by Amazon)などの物流代行サービス利用料は「外注費」として仕訳し、倉庫費と明確に区別する。
  • 越境ECで海外仕入れがある場合、為替レートの変動による差損益を「為替差損益」として適切に計上する。
  • 商品撮影機材やPC、独自ECサイト構築費用など、10万円以上の固定資産は減価償却の対象。青色申告なら30万円未満の少額減価償却資産の特例活用を検討。
  • 販売促進のためにインフルエンサーに無償で商品提供した場合、その商品の時価を「広告宣伝費」として経費計上できることを覚えておく。

免責事項:この情報は一般的な参考情報であり、個別の税務判断を提供するものではありません。具体的な税務上の判断については、税理士等の専門家にご相談ください。