学習塾の年間税務カレンダー【2026年版】
申告前提
個人事業主・12月決算を前提
月別イベント
19件
学習塾の経営者の皆様、年間を通じて多岐にわたる税務業務を計画的に進めることは、安定した塾運営に不可欠です。本カレンダーでは、個人事業主の学習塾を前提に、2026年に必要な税務イベントを月別にまとめています。季節講習の売上計上時期、教材費や人件費の適切な仕訳、各種届出の期限など、学習塾ならではの注意点を盛り込みました。計画的な申告・納税で、生徒指導に集中できる環境を整えましょう。
1月
冬期講習の売上確定と新年度の生徒募集準備で忙しい時期です。確定申告に向けた領収書整理も始めましょう。
法定調書合計表・給与支払報告書等の提出
税務署に法定調書合計表、市町村に給与支払報告書などを提出します。講師や事務スタッフに給与を支払っている場合に必要です。
時間講師等への報酬も対象となる場合があります。報酬の支払い形態に応じて提出義務が発生するため、確認が必要です。
償却資産税の申告
事業用の固定資産(机、椅子、ホワイトボード、パソコンなど)を所有している場合に、その資産の所在地の市町村へ申告します。
教室の内装工事や防犯カメラ、塾管理システム導入に伴うサーバー費用なども対象となる場合があります。取得価額10万円以上の資産は確認しましょう。
冬期講習の売上計上確認
12月〜1月にかけて実施した冬期講習の売上計上は、実際に授業を提供した月に計上することが原則です。年をまたぐ場合は特に注意して確認しましょう。
入塾金や年間教材費を前受けしている場合も、役務提供や教材引き渡しに応じて按分計上が必要です。不明な点は税理士にご相談ください。
2月
新年度の入塾説明会や生徒募集活動が活発になる時期です。集客に力を入れつつ、経理作業も並行して進めましょう。
確定申告の準備本格化
会計ソフトへの入力完了、領収書・請求書・通帳の最終確認を行い、青色申告決算書の作成に取り掛かります。
教材費、講師への報酬、広告宣伝費など、学習塾特有の勘定科目を適切に処理できているか再確認しましょう。
3月
今月春期講習の準備と新学期のカリキュラム調整で忙しい時期です。確定申告を終えて、新たな気持ちで新年度を迎えましょう。
所得税の確定申告・納税
前年分の所得税の確定申告書を税務署に提出し、納税します。青色申告特別控除を受ける場合は、青色申告決算書も添付します。
青色申告承認申請書を提出しているか確認しましょう。自宅兼教室の場合は家事按分比率の合理性が重要です。不明な点は税理士にご相談ください。
消費税の確定申告・納税(課税事業者の場合)
消費税の課税事業者の場合、前年分の消費税の確定申告書を税務署に提出し、納税します。インボイス制度対応も確認しましょう。
学習塾の売上は原則として課税対象ですが、顧客が一般消費者(保護者)のため、インボイス発行の必要性は低いことが多いです。ただし、法人向けの研修やフランチャイズ契約がある場合は対応が必要です。
4月
新入塾生の定着支援や講師の研修など、教育活動に集中する時期です。経理は日常業務としてコツコツと進めましょう。
新年度の経費計上確認
新学期が始まり、新たな教材の購入、消耗品の補充、広告宣伝費などの経費が発生します。これらを漏れなく会計ソフトに入力しましょう。
新入塾生向けの教材は「仕入高」、自塾で使用する備品は「消耗品費」など、適切に勘定科目を区別することが重要です。
5月
ゴールデンウィーク明けは生徒の学習意欲が低下しやすい時期です。定期テスト対策やイベント企画でモチベーション維持を図りましょう。
自動車税の納税
事業で使用している車両がある場合、自動車税の納税通知書が届きます。期限までに納税しましょう。
送迎用車両や講師の巡回用車両など、事業での利用実態に応じて経費計上可能です。家事按分が必要な場合もあります。
6月
夏期講習の企画・募集が本格的に始まる時期です。生徒募集の広告宣伝費が増加する傾向があります。
住民税の納税(普通徴収第1期)
市区町村から届く住民税の納税通知書に基づき、普通徴収の第1期分を納税します。口座振替を設定している場合は自動引き落としです。
住民税は前年の所得に対して課税されます。所得が大きく変動した場合、納税額も変わるため確認しておきましょう。
7月
夏期講習のピークを迎え、講師のシフト管理や報酬支払いが集中します。教室の空調費など水道光熱費も増加傾向にあります。
源泉所得税・住民税の納付(納期特例適用者)
給与や報酬を支払っている個人事業主で、源泉所得税の納期特例の承認を受けている場合、1月〜6月分の源泉所得税・住民税を納付します。
時間講師への報酬や、外部委託した教材作成費なども源泉徴収の対象となる場合があります。税理士にご相談ください。
所得税の予定納税(第1期)
前年分の所得税額が一定額以上の場合、税務署から予定納税の通知書が届きます。第1期分を納税します。
夏期講習の売上増加を見込んでいる場合、予定納税額との乖離が生じることがあります。減額申請も可能です。不明な点は税理士にご相談ください。
夏期講習の売上計上と経費管理
夏期講習が本格化し、売上が大きく変動する時期です。教材費、講師への報酬、水道光熱費などの経費も増加します。適切に売上と経費を計上しましょう。
夏期講習の受講料を前受けした場合、授業の提供月に応じて売上を計上する「発生主義」が原則です。入金時に全額計上しないよう注意しましょう。
8月
夏期講習の疲れが出やすい時期です。生徒の学習フォローや、講師の労務管理に配慮しましょう。
夏期講習の売上・経費の最終確認
夏期講習が終了し、売上と講師への報酬、教材費、水道光熱費などの経費を最終確認し、会計ソフトへ入力します。
夏の間に購入した備品(扇風機、冷水器など)も、事業用であれば消耗品費や器具備品として計上可能です。
9月
2学期が始まり、生徒の進路相談が増える時期です。受験生向けの特別講座の準備も進めましょう。
住民税の納税(普通徴収第2期)
普通徴収の住民税第2期分を納税します。忘れずに納税しましょう。
納税額は前年の所得に基づいています。今年の所得が大幅に減少した場合は、税理士に相談して減額申請を検討できる場合があります。
10月
中間テスト対策や冬期講習の企画が本格化します。受験学年の生徒にとっては、志望校決定に向けた重要な時期です。
年末に向けた経費計画
年末に向けて、教材の補充、備品の買い替え、広告宣伝費など、年内に必要な経費を計画的に支出することを検討します。
翌年分の教材を年内に購入した場合、その年度の仕入高として計上できるかなど、不明な点は税理士にご相談ください。
11月
期末テスト対策や受験生向け特別講座の準備で忙しい時期です。冬期講習の生徒募集も本格化します。
所得税の予定納税(第2期)
所得税の予定納税がある場合、第2期分を納税します。第1期同様、所得が大幅に減少した場合は減額申請が可能です。
年間を通しての売上・経費状況から、今年の所得をある程度予測し、予定納税額との乖離を確認しておきましょう。
12月
冬期講習の準備と実施、そして新年度の生徒募集活動がピークを迎えます。同時に、年間の経理を締めくくる重要な時期です。
年末調整の実施(従業員がいる場合)
給与を支払っている従業員や専従者がいる場合、年末調整を行います。書類の回収と税額計算、源泉徴収票の発行が必要です。
アルバイト講師や事務スタッフも年末調整の対象となる場合があります。適切な手続きでスムーズに処理しましょう。
消費税の課税事業者選択届出書等の提出(翌々年からの適用)
免税事業者が消費税の課税事業者になることを選択する場合、翌々年からの適用を目指すならこの月が提出期限です。
インボイス制度への対応や、設備投資による消費税還付を検討している場合に重要です。税理士に相談して慎重に判断しましょう。
年間の会計帳簿の整理・確認
1年間の領収書、請求書、通帳データなどを最終確認し、会計ソフトへの入力漏れがないか確認します。来年の確定申告準備の第一歩です。
棚卸資産(販売用教材など)の有無も確認し、期末棚卸高を正確に把握しましょう。季節講習の売上計上基準も再確認が必要です。
年間まとめ
学習塾の年間税務カレンダーは、確定申告や各種納税、届出が年間を通じて点在していることを示しています。特に、季節講習の売上計上時期や教材費、講師への報酬の取り扱いなど、学習塾特有の経理処理には注意が必要です。計画的な準備と適切な処理を心がけることで、税務上のリスクを回避し、本業である生徒指導に注力できるでしょう。
確定申告に向けた準備スケジュール
10月〜12月:年間の領収書・請求書・通帳データの整理と会計ソフトへの入力漏れがないか確認。固定資産の購入があれば、減価償却の準備を始めます。
1月:会計ソフトへの年間入力作業を完了させ、試算表を作成。不明な取引や金額に大きな変動がないか確認し、勘定科目内訳書の準備を進めます。
2月:青色申告決算書・確定申告書Bの作成に取り掛かります。作成中に疑問点や不明な経費の計上可否があれば、税理士に相談して解決しましょう。
3月:確定申告書を提出期限(3月15日)までに税務署へ提出し、所得税・消費税の納税を完了させます。e-Taxでの申告も積極的に活用しましょう。
プロのアドバイス
- 教材費の仕訳は、生徒に販売するものは「仕入高」、自塾で使用するものは「消耗品費」と明確に区別し、常に整理しておきましょう。
- 時間講師への報酬は、雇用契約か業務委託契約かによって源泉徴収の要否が変わります。契約形態を確認し、必要に応じて源泉徴収義務を履行してください。不明な点は税理士に相談しましょう。
- 自宅の一部を教室として使用する場合、地代家賃や水道光熱費などを家事按分できますが、事業での使用割合を合理的に説明できる根拠(面積比、使用時間比など)を準備しておくことが重要です。
- 夏期講習や冬期講習などの季節講習の受講料を前受けした場合、入金時に全額売上計上するのではなく、実際に授業を提供した月に按分して売上計上する「発生主義」を徹底しましょう。
- 塾管理システムやクラウド会計ソフトを導入することで、生徒ごとの入金管理や講師の勤怠・報酬計算、日々の仕訳入力が効率化され、確定申告時の手間を大幅に削減できます。
免責事項:この情報は一般的な参考情報であり、個別の税務判断を提供するものではありません。具体的な税務上の判断については、税理士等の専門家にご相談ください。