経理・税務ガイド

マーケティング会社の年間税務カレンダー【2026年版】

申告前提

個人事業主・12月決算を前提としています。法人申告の場合、決算月によってスケジュールが異なりますのでご注意ください。

月別イベント

23

マーケティング会社を経営する皆様、日々の広告運用やクライアント対応に加え、税務処理は後回しになりがちではないでしょうか。本カレンダーでは、個人事業主・法人問わず、マーケティング会社が年間を通して直面する主要な税務イベントを月別に整理しました。特に、広告費の処理、外注費の源泉徴収、各種ツール利用料の計上など、業界特有の注意点を盛り込んでいます。計画的な準備で、安心して事業に専念できるようサポートします。

1月

年末年始で一区切りつき、新年度の事業計画やマーケティング戦略を練る時期です。それに伴う投資計画と税務上の処理を早期に検討しましょう。

最重要

法定調書合計表の提出

前年分の報酬等の支払調書を税務署に提出します。フリーランスのライターやデザイナーへの外注費がある場合は特に注意が必要です。

1月31日税務署

Webライターや動画クリエイターへの外注費は支払調書作成の対象となる場合が多いです。

法定調書合計表報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書
重要

償却資産申告書の提出

1月1日時点で所有する事業用償却資産(PC、ディスプレイ、サーバー等)を申告します。固定資産税の計算に用いられます。

1月31日市区町村役場

高額な高性能PCや複数のディスプレイは償却資産に該当する可能性があります。

償却資産申告書

新年の事業計画と経費予算の見直し

新年度の広告運用戦略やコンテンツ制作計画に伴うツール費用、外注費などの予算を策定し、経費計上の指針を明確にします。

随時社内

新しい広告プラットフォームやSEOツールの導入を検討する良い機会です。

2月

確定申告の提出期間が始まるため、経理業務がピークを迎えます。計画的な準備で慌てないようにしましょう。

最重要

確定申告準備の本格化

会計ソフトへの入力最終確認、領収書や請求書の整理、各種控除書類(社会保険料控除証明書など)の準備を進めます。

2月中税務署

広告媒体からの請求書、SEOツールやMAツールの利用明細は特に抜けがないか確認しましょう。

重要

インボイス制度対応状況の最終確認

クライアントへの請求書が適格請求書の要件を満たしているか、外注先からの請求書に登録番号があるか最終確認します。

2月中社内

多くのBtoBクライアントは仕入税額控除を求めるため、適格請求書発行事業者登録は必須です。

3月

今月

税務申告の最終期限です。提出漏れや計算ミスがないよう、慎重に進めましょう。

最重要

所得税および復興特別所得税の確定申告

前年1月1日から12月31日までの所得を計算し、所得税額を確定させ、申告書を提出し納税します。

3月15日税務署

広告費や外注費、ソフトウェア利用料などの経費計上が適切か最終確認してください。特に家事按分もれがないか注意。

所得税確定申告書青色申告決算書
最重要

消費税の確定申告

課税事業者である場合、前年分の消費税を計算し、申告書を提出し納税します。インボイス制度の影響を大きく受けます。

3月31日税務署

クライアントからの広告運用手数料やコンサルティングフィーは課税売上です。外注費のインボイス保存状況を確認。

消費税確定申告書

4月

確定申告後の落ち着いた時期に、年間計画と経理体制を見直す絶好の機会です。

新年度の会計処理ルール再確認

確定申告で判明した課題や、インボイス制度の運用状況を踏まえ、新年度の経費処理や売上計上のルールを見直します。

随時社内

広告費の総額・純額処理の選択や、外注費の源泉徴収義務の再確認など。

マーケティングツール契約の見直し

新年度の予算と戦略に合わせ、利用中のSEOツール、MAツール、CRMなどの契約内容や利用状況を見直します。

随時社内

不要なツールの解約や、より効率的なツールの導入を検討する機会です。

5月

個人事業税の確認と、上半期の事業進捗をレビューし、下半期の戦略を立て始める時期です。

重要

個人事業税の納付通知書確認

都道府県税事務所から個人事業税の納付通知書が届きます。事業所得が290万円超の場合に課税されます。

5月頃(自治体による)都道府県税事務所

マーケティングコンサルティング業は個人事業税の対象業種です。

6月

上半期の成果を振り返り、下半期に向けた戦略を具体化する時期です。源泉徴収漏れがないか確認しましょう。

最重要

源泉所得税の納期特例(上半期分)準備

従業員や外注先への報酬から源泉徴収した所得税を、1月から6月分まとめて納付する準備を始めます。

翌月10日まで税務署

コンテンツライターやWebデザイナーへの報酬は源泉徴収の対象となることが多いです。

所得税徴収高計算書

7月

上半期の源泉徴収税額の納付と、労働保険の年度更新があります。予定納税の対象者は納付を忘れないようにしましょう。

最重要

源泉所得税の納付(納期特例:1〜6月分)

納期特例の承認を受けている場合、1月から6月までの源泉徴収税額をまとめて納付します。

7月10日税務署

外注費の源泉徴収漏れは指摘されやすいポイントです。

所得税徴収高計算書
重要

労働保険の年度更新

従業員を雇用している場合、労働保険料(労災保険・雇用保険)の年度更新手続きを行い、保険料を納付します。

7月10日労働基準監督署、ハローワーク
労働保険料等算定基礎賃金集計表
重要

所得税の予定納税(第1期分)

前年の所得税額が一定額以上だった場合、当年分の所得税の一部を事前に納付します。

7月31日税務署
所得税及び復興特別所得税の予定納税額の通知書

8月

比較的落ち着いた時期ですが、確定申告に向けて日々の記帳は継続しましょう。

夏季休暇と業務効率化の検討

夏季休暇中に経理業務が滞らないよう、前倒しで処理を進めるか、会計ソフトの活用で効率化を図るか検討します。

随時社内

広告運用やSNS投稿のスケジュールと同様に、経理業務も計画的に進めましょう。

9月

年末に向けた事業の追い込み時期です。税務上の影響も考慮して計画を進めましょう。

下半期の事業計画と広告予算の見直し

年末商戦や来年度のクライアント獲得に向け、下半期のマーケティング戦略とそれに伴う広告費や外注費の予算を再確認します。

随時社内

特に大型キャンペーンや新規ツール導入の検討は、この時期に行うとスムーズです。

重要

適格請求書発行事業者の登録申請の検討

免税事業者から課税事業者への転換を検討している場合、年度内の登録でインボイス発行が可能になります。

随時税務署

多くのBtoBクライアントとの取引では、インボイス登録が求められる傾向にあります。

適格請求書発行事業者の登録申請書

10月

年末調整の準備が始まる企業も多い時期です。自身の事業の消費税課税状況を再確認しましょう。

重要

消費税の納税義務判定

2年前の課税売上高が1,000万円を超えている場合、翌々年から課税事業者となります。インボイス登録の要否も検討します。

随時税務署

売上増加に伴い消費税の納税義務が発生する場合、インボイス登録が必須となります。

11月

年末に向けての最終調整期間です。予定納税や従業員がいる場合の年末調整準備を忘れずに。

重要

所得税の予定納税(第2期分)

前年の所得税額が一定額以上だった場合、当年分の所得税の一部を事前に納付します。

11月30日税務署
所得税及び復興特別所得税の予定納税額の通知書
最重要

年末調整の準備(従業員がいる場合)

従業員がいる場合、年末調整に必要な書類(扶養控除等申告書、保険料控除申告書など)を回収し準備します。

11月中税務署
給与所得者の扶養控除等(異動)申告書

12月

一年間の締めくくりと、翌年の準備を同時に進める多忙な時期です。経費の計上漏れがないか、入念に確認しましょう。

最重要

年末調整の実施(従業員がいる場合)

従業員の1年間の所得税を精算し、過不足を調整します。給与支払報告書を作成します。

12月中税務署、市区町村役場
給与所得の源泉徴収票
重要

決算前の最終的な経費計上漏れ確認

年内の広告運用費、ツール利用料、外注費などで未計上のものがないか、領収書や請求書を最終確認します。

12月中社内

特に月額制のクラウドサービスや、成果報酬が確定した案件の計上漏れがないか確認しましょう。

来年の事業計画とツール導入検討

来年度のマーケティング戦略に基づき、新たな広告媒体、SEO・MAツールなどの導入計画を立て、予算を確定します。

12月中社内

早期に計画することで、期首からのスムーズな事業展開と経費計上が可能です。

年間まとめ

マーケティング会社にとって年間を通じた税務は、単なる申告作業に留まらず、事業の健全性を保つ上で不可欠です。広告費や外注費、ツール利用料といった特有の経費を適切に処理し、インボイス制度への対応も確実に進める必要があります。特に、クライアントからの預かり金と自社売上の区別、源泉徴収の要否など、業界固有の複雑な会計処理を理解し、計画的に取り組むことが重要です。

確定申告に向けた準備スケジュール

1

決算期の最終月における売上・経費の見込み額を把握し、節税対策を検討。特に大型の外注費やツール導入を検討している場合はこの時期に計画。

2

請求書、領収書、銀行口座の取引履歴など、年間分の証拠書類を整理。広告プラットフォームの月次明細も全てダウンロードし確認。

3

会計ソフトへの入力漏れがないか確認し、仮決算を実施。源泉徴収票や支払調書の発行依頼・準備。

4

確定申告書類の作成と提出。消費税の納税義務がある場合は消費税申告書も作成し提出。

プロのアドバイス

  • 広告プラットフォームの費用明細は毎月必ずダウンロードし、クライアントからの預かり金と自社計上分を明確に区別して記帳しましょう。特にGoogle広告やMeta広告は、媒体側での課金サイクルとクライアントへの請求サイクルが異なる場合があるので注意が必要です。
  • コンテンツ制作やWebサイト開発を外部のフリーランスに委託する際、報酬には源泉徴収が必要なケースが多いです。契約時に税務上の取り扱いを確認し、支払調書の発行準備も忘れずに行いましょう。
  • SEOツール(SEMrush, Ahrefs)やMAツール(HubSpot)などのサブスクリプション費用は、年間契約で一括払いした場合でも、期間按分して毎月の経費として計上することを検討してください。これにより、月ごとの正確な損益を把握できます。
  • 自宅をオフィスとして利用している場合、家賃・光熱費・通信費を家事按分して経費計上することで節税効果が期待できます。按分比率の根拠(使用面積や使用時間)を明確にしておきましょう。
  • クライアントとの成果報酬型契約では、売上計上時期に注意が必要です。成果が確定し、請求権が発生した時点で売上を計上するのが原則です。年度末に未達成の成果報酬がないか、契約書と照らし合わせて確認しましょう。

免責事項:この情報は一般的な参考情報であり、個別の税務判断を提供するものではありません。具体的な税務上の判断については、税理士等の専門家にご相談ください。