税理士事務所の年間税務カレンダー【2026年版】
申告前提
個人事業主・12月決算を前提とした税理士事務所向け(法人成りされている場合は法人税申告の期限にご留意ください)。
月別イベント
22件
独立開業された税理士の先生方、日々の顧問業務に加え、ご自身の事務所の経理・税務管理は万全でしょうか。顧問料の価格競争激化やAI会計ソフト普及による記帳代行単価の低下、Webマーケティングの重要性増大など、多忙を極める先生方のために、2026年の年間税務カレンダーを作成しました。確定申告や各種届出、インボイス制度対応といった重要イベントを網羅し、繁忙期の業務負荷を軽減し、効率的な事務所運営をサポートする一助となれば幸いです。
1月
確定申告期に向けた準備が本格化する時期です。顧問先への資料回収依頼や年末調整後のレビューを開始します。
前年分の法定調書提出
税理士事務所として雇用している従業員や外部委託先への報酬に関する法定調書を税務署に提出します。顧問先への提出指導も重要な業務です。
自身の事務所の法定調書作成はもちろん、顧問先の法定調書提出指導も行います。電子申告の準備を早めに行いましょう。
償却資産申告書の提出
事業で使用する固定資産(PC、税務申告ソフト、複合機、書庫など)について、1月1日現在の所有状況を各市町村に申告します。税務申告ソフトのライセンス費用も対象となる場合があります。
自身の事務所の固定資産台帳を正確に把握し、顧問先への償却資産申告に関するヒアリングも開始します。
2月
確定申告業務で事務所全体が最も多忙になる時期です。効率的な業務フローとチーム連携が不可欠となります。
所得税確定申告の準備
自身の事務所の所得税確定申告に向けた資料整理と、顧問先の確定申告業務が本格化します。特に青色申告決算書の作成は重要な業務です。
顧問先からの資料回収がピークを迎えます。クラウド会計ソフトのデータ連携状況を確認し、効率的な記帳代行・申告業務を心がけましょう。
消費税確定申告の準備
課税事業者である場合、消費税の確定申告準備を進めます。インボイス制度導入後、適格請求書の発行・受領状況の確認が特に重要です。
顧問先のインボイス対応状況を再確認し、仕入税額控除の適用要件を満たしているか丁寧にチェックします。
3月
今月年間で最も多忙な時期のピークです。申告業務完了後は、一時的に業務が落ち着きますが、次期への準備も視野に入れましょう。
所得税確定申告期限
前年分の所得税確定申告書を税務署に提出し、納税します。自身の事務所の申告と顧問先の申告業務で年間最大の繁忙期です。
電子申告システム(e-Tax、達人シリーズ等)を活用し、期限内の提出を徹底します。顧問先への納税額通知も忘れずに行いましょう。
個人事業税申告期限
個人の事業所得に課される個人事業税の申告も所得税確定申告と同時に行います。納税額は後日通知されます。
顧問先の事業内容によって個人事業税の課税対象となるか否か、課税所得の計算に誤りがないか確認します。
消費税確定申告期限
課税事業者である場合、前年分の消費税確定申告書を税務署に提出し、納税します。自身の事務所のインボイス対応も再確認しましょう。
インボイス制度導入後、適格請求書発行事業者としての自身の義務と、顧問先の仕入税額控除の要件を厳しくチェックします。
4月
確定申告の繁忙期が終わり、比較的落ち着く時期です。情報収集やスキルアップのための研修参加も検討できます。
決算・申告後のレビューと顧問先への報告
確定申告が完了したら、自身の事務所の会計データを整理し、次年度の事業計画や資金繰り計画を見直します。顧問先への決算報告もこの時期に行います。
顧問先への決算報告会を通じて、次期の顧問契約継続や新たなコンサルティング提案の機会とします。
5月
法人顧問先の決算期によっては、この時期も繁忙期となることがあります。自身の事務所の業務分散を意識しましょう。
法人税申告(3月決算法人)
3月決算の法人顧問先がある場合、法人税、消費税、地方税の申告業務がこの時期の主要な業務となります。
法人顧問先の決算・申告業務は、個人事業主とは異なる高度な専門性が求められます。達人シリーズなどの申告ソフトを有効活用しましょう。
6月
労働保険関連の業務が発生する時期です。税理士事務所自身の会費納付も忘れずに行いましょう。
労働保険の年度更新
従業員を雇用している場合、労働保険料の年度更新手続きを行います。顧問先への案内も重要な業務です。
自身の事務所の手続きと合わせて、顧問先の労働保険に関する相談にも対応できるよう準備しておきましょう。
日本税理士会連合会・地域税理士会の会費納付
税理士として活動するために必要な年会費を納付します。会費の損金算入区分について、改めて確認しておきましょう。
一部の会費は交際費に該当する場合があるため、適切な勘定科目で処理し、税務調査対策として明確な区分が必要です。
7月
夏季休暇の取得を検討できる時期ですが、源泉所得税や予定納税の期限は忘れずに対応しましょう。
源泉所得税の納付(納期特例適用者)
従業員が10人未満で「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を提出している場合、1月〜6月分の源泉所得税をまとめて納付します。
自身の事務所の源泉徴収事務と、顧問先の納期特例適用状況を確認し、納税指導を行います。
所得税の予定納税(第1期分)
前年分の所得税額が一定額以上の場合、今年の所得税の一部を前払いする予定納税の第1期分の納付期限です。
自身の資金繰りを考慮し、予定納税額の減額申請(9月15日まで)が必要か検討します。顧問先への案内も重要です。
8月
比較的閑散期であり、事務所のWebサイト更新や集客戦略の見直し、スキルアップに時間を使う良い機会です。
税法改正情報の収集と研修
税法は頻繁に改正されるため、夏季の比較的閑散な時期を利用して、最新の税法改正情報や業界動向を収集し、研修に参加します。
インボイス制度や電子帳簿保存法に関する追加改正やQ&Aの確認は、顧問先への的確なアドバイスのために不可欠です。
9月
予定納税の減額申請や中間申告など、納税に関する重要なイベントがあります。顧問先の資金繰りにも影響するため、慎重な対応が求められます。
所得税の予定納税額の減額申請
今年の所得が前年よりも大幅に減少する見込みの場合、第1期・第2期分の予定納税額の減額を申請できます。自身の事務所の業績予測に基づき検討します。
顧問先の業績予測に基づいて、減額申請のサポートを行うことも重要な顧問業務です。
中間申告・納付
消費税の課税事業者である場合、中間申告・納付が必要となることがあります。法人顧問先の中間申告も発生します。
自身の事務所の消費税課税期間を確認し、顧問先の中間申告義務についても指導を行います。
10月
年末調整に向けた準備が始まる時期です。顧問先への事前アナウンスがスムーズな業務遂行につながります。
年末調整の準備開始
従業員を雇用している場合、年末調整の準備を開始します。顧問先への年末調整資料依頼の準備もこの時期から始めます。
顧問先への年末調整資料依頼リストの作成や、クラウド給与計算ソフトの事前設定を進めます。
インボイス制度・電子帳簿保存法の対応状況確認
顧問先のインボイス制度および電子帳簿保存法の対応状況を定期的に確認し、必要な指導やシステムの導入支援を行います。
特に電子帳簿保存法に関しては、顧問先がスキャナ保存や電子取引データの保存要件を満たしているか、具体的なチェックリストを用いて確認しましょう。
11月
年末調整業務が本格化し、再び繁忙期に入り始めます。来年の確定申告に向けた準備も視野に入れる時期です。
個人事業税の第2期納付
個人事業税の第2期分納付期限です。忘れずに納税しましょう。
顧問先の個人事業税の納税状況も確認し、納税漏れがないか指導します。
年末調整の本格化
顧問先からの年末調整資料を回収し、計算業務を本格的に開始します。自身の事務所の従業員の年末調整も行います。
クラウド給与計算ソフト(freee人事労務、マネーフォワードクラウド給与など)を活用し、効率的かつ正確な年末調整を目指しましょう。
12月
年末年始の休暇に入る前に、翌年の確定申告業務をスムーズに進めるための最終準備を徹底しましょう。
年末調整の完了と源泉徴収票発行
年末調整を完了させ、従業員や顧問先の従業員へ源泉徴収票を発行します。来年の確定申告に向けた資料整理も進めます。
顧問先への源泉徴収票の送付と、来年の確定申告に向けた資料準備の案内を丁寧に行いましょう。
自身の事務所の会計データ整理
自身の事務所の1年間の会計データを整理し、翌年1月からの確定申告準備に備えます。クラウド会計ソフトを活用し、日々の記帳漏れがないか確認します。
自身の事務所の経費計上漏れがないか、特にシステム利用料や会費、研修費などの専門家特有の経費を重点的にチェックします。
年間まとめ
税理士事務所の年間業務は、確定申告や法人税申告、年末調整といった定例業務に加え、インボイス制度や電子帳簿保存法対応など、法改正への迅速な対応が不可欠です。この年間税務カレンダーを活用し、自身の事務所の税務管理と顧問先へのサービス提供を計画的に進めることで、繁忙期の業務負荷を軽減し、安定した事務所経営を目指しましょう。
確定申告に向けた準備スケジュール
顧問先への年末調整資料依頼開始、自身の事務所の固定資産台帳や経費レシートの整理を開始。クラウド会計ソフトの未入力データを解消。
顧問先からの年末調整資料回収と計算業務の本格化。自身の事務所の年間収支見込みを立て、所得税・消費税の納税額を概算。
顧問先の確定申告資料最終確認と記帳代行完了。自身の事務所の青色申告決算書、所得税・消費税申告書の作成に着手。達人シリーズなどの申告ソフトでデータ連携と入力を行う。
所得税確定申告書、消費税確定申告書をe-Taxで提出し、納税手続きを完了。顧問先への納税額通知と申告書控えの送付を行う。
プロのアドバイス
- クラウド会計ソフト(freee会計、マネーフォワードクラウド会計)の導入支援を顧問契約獲得の差別化ポイントにしましょう。初期設定から運用までをサポートすることで、単価低下に悩む記帳代行業務から付加価値の高いコンサルティング業務へ移行できます。
- 税務調査対応は税理士の腕の見せ所です。顧問先への事前シミュレーションや想定質問への準備を徹底し、電子帳簿保存法に対応したデータ保存状況も確認。税務調査官との交渉経験を積むことで、顧問先の信頼を一層深めることができます。
- 新規顧問契約獲得のためには、Web集客戦略が不可欠です。事務所のWebサイトSEO対策を強化し、専門分野(事業承継税務、相続税申告、国際税務など)に特化したコンテンツを発信することで、高単価の顧問先獲得を目指しましょう。
- 確定申告期や決算期の繁忙期対策として、業務の標準化とアウトソーシングの活用を検討してください。記帳代行の一部を外部に委託したり、RPAツールを導入することで、所長一人体制の業務負荷を大幅に軽減できます。
- 税理士賠償責任保険への加入は必須ですが、それに加えて顧問先への契約内容や業務範囲の明確化を徹底してください。税理士法に定める守秘義務を遵守しつつ、サービスレベルを文書化することで、予期せぬトラブルを未然に防ぎ、信頼関係を構築します。
免責事項:この情報は一般的な参考情報であり、個別の税務判断を提供するものではありません。具体的な税務上の判断については、税理士等の専門家にご相談ください。