経理・税務ガイド

古着屋の年間税務カレンダー【2026年版】

申告前提

個人事業主・12月決算を前提

月別イベント

22

古着屋の経営者の皆様、日々の仕入れやECサイト運営、実店舗での接客でお忙しいことと存じます。一点物の古着を扱う特性上、在庫管理や仕入れ費用の計上、インボイス制度への対応など、一般的な小売業とは異なる税務処理が求められる場面も少なくありません。この年間税務カレンダーでは、古着屋経営における税務上の重要なイベントや届出の期限を月ごとにまとめました。計画的な準備で、安心して事業に専念できるようサポートいたします。

1月

年末年始セール後の棚卸資産の最終確認や、確定申告に向けた前年分の帳簿整理を開始する時期です。海外買い付けを計画している場合は、旅費や仕入れの予算組みも検討しましょう。

最重要

前年分の法定調書合計表等の提出

従業員に給与を支払っている場合、前年分の給与所得の源泉徴収票や報酬・料金等の支払調書などを税務署に提出します。

1月31日税務署
給与所得の源泉徴収票報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書不動産の使用料等の支払調書
重要

償却資産税の申告

事業で使用している店舗の内装造作、ディスプレイ什器、POSレジ、撮影機材など、固定資産税の対象となる償却資産がある場合に申告します。

1月31日市区町村

店舗の内装工事やディスプレイ什器、防犯カメラなど、古着屋特有の設備も対象です。

償却資産申告書
重要

古物台帳の確認と整理

前年分の古物台帳の記載内容に漏れがないか確認し、古物営業法に基づき適切に保存されているかをチェックしましょう。

年間を通して自己管理

税務調査時にも仕入れの証拠として確認される場合があります。買取日、品目、特徴、金額、相手の情報などを正確に記録してください。

古物台帳

2月

確定申告の準備が本格化する時期です。不明な点があれば、早めに税理士に相談することをお勧めします。

最重要

確定申告の準備と書類作成

前年分の売上や経費をまとめ、確定申告書を作成する期間です。クラウド会計ソフトを活用し、会計帳簿を完成させましょう。

3月15日まで税務署

一点物の古着の期末棚卸が正確に反映されているか、ECサイト手数料や海外買い付け費用などが正しく計上されているかを確認してください。

会計帳簿領収書・請求書預金通帳
最重要

消費税の確定申告準備(課税事業者の場合)

課税事業者の場合、前年分の消費税額を計算し、確定申告書を作成します。インボイス制度への対応状況も再確認しましょう。

3月31日まで税務署

一般個人からの買取は適格請求書がないため、仕入れ税額控除の対象外です。帳簿上で明確に区分できているか確認が重要です。

課税仕入れにかかる適格請求書売上にかかる適格請求書控え

3月

今月

税務上の最も重要な月です。期限厳守で申告・納付を行いましょう。この時期は春物の新作や買い付け品が入荷し始めることもあります。

最重要

所得税の確定申告・納付

前年分の所得税の確定申告書を提出し、税金を納付します。青色申告特別控除65万円の適用要件を満たしているか確認しましょう。

3月15日税務署

古着の仕入れ値や在庫評価が売上原価に大きく影響します。正確な棚卸が適正な納税につながります。

所得税確定申告書青色申告決算書
最重要

消費税の確定申告・納付(課税事業者の場合)

課税事業者の場合、前年分の消費税の確定申告書を提出し、税金を納付します。免税事業者からの仕入れが多い場合は、仕入税額控除の適用外となる経費に注意が必要です。

3月31日税務署

海外からの仕入れ時の輸入消費税は仕入れ税額控除の対象です。輸入許可書などを保管しておきましょう。

消費税確定申告書

4月

確定申告が終わり一息つく時期ですが、新たな年度の経理体制を整える良い機会です。ECサイトのシステム更新やSNS広告戦略の見直しも検討しましょう。

重要

青色申告の承認申請(新規開業の場合)

1月1日〜1月15日に開業した個人事業主が、その年から青色申告をする場合は、この日が申請期限です。

4月15日税務署

開業直後の古着屋さんは、青色申告特別控除65万円を受けるために忘れずに提出しましょう。

青色申告承認申請書

5月

夏物の買い付けや、ECサイトでのセール準備など、繁忙期に向けての準備が始まる時期です。古着のクリーニングや修繕費も増える可能性があります。

個人事業税の納税通知書受領

所得が290万円を超える個人事業主には、個人事業税の納税通知書が送付されます。通常、8月と11月に納付します。

通知書に記載都道府県税事務所

6月

梅雨時期に入り、商品の保管状態にも注意が必要です。湿気対策や防虫対策のための消耗品購入も経費計上を忘れずに。

住民税の特別徴収税額決定通知書受領

従業員を雇用している場合、市区町村から住民税の特別徴収税額決定通知書が届きます。6月分の給与から新たな税額で徴収を開始します。

6月上旬市区町村

7月

夏物セールの準備や、秋冬物の海外買い付け計画が具体化する時期です。為替レートの変動に注意し、仕入れのタイミングを見極めましょう。

重要

所得税の予定納税額の納付(第1期分)

前年分の所得税額が15万円を超える場合、予定納税の通知書が届きます。第1期分の税金を納付します。

7月31日税務署
重要

源泉所得税の納付(納期特例適用者)

従業員を雇用しており、源泉所得税の納期特例(年2回納付)を適用している場合、1月から6月分の源泉所得税を納付します。

7月10日税務署

労働保険の年度更新

従業員を雇用している場合、前年度の労働保険料を精算し、新年度の保険料を申告・納付します。

7月10日労働基準監督署

8月

お盆期間は実店舗の来店客数が変動しやすい時期です。ECサイトでの集客強化や、秋冬物の入荷準備に注力しましょう。

個人事業税の納付(第1期分)

個人事業税の納税通知書に基づき、第1期分の個人事業税を納付します。

8月31日都道府県税事務所

9月

秋物の本格的な展開が始まる時期です。商品の写真撮影やECサイトへの登録作業が増えるため、消耗品費(梱包材、撮影用背景など)の管理を徹底しましょう。

重要

消費税の中間申告・納付(課税事業者の場合)

課税売上高が一定額を超える課税事業者は、消費税の中間申告と納付が必要です。年1回、3回、11回納付のいずれかです。

9月30日(年1回の場合)税務署

10月

冬物アイテムの仕入れがピークを迎える時期です。海外買い付けを予定している場合は、出発前の最終準備を行いましょう。

重要

インボイス制度対応状況の確認

インボイス制度が本格稼働して1年が経過します。仕入れ先からの適格請求書の受領状況や、ご自身の適格請求書発行状況を再確認しましょう。

年間を通して自己管理

法人顧客や他事業者に古着を販売するBtoB取引がある場合、適格請求書の発行漏れがないか確認が必要です。一般個人からの買取は引き続き仕入れ税額控除の対象外です。

11月

年末商戦に向けての準備が本格化します。一点物の古着の在庫が多いため、期末棚卸の準備を早めに始めることが重要です。

重要

所得税の予定納税額の納付(第2期分)

予定納税の対象者は、第2期分の所得税を納付します。これで今年分の予定納税は完了です。

11月30日税務署

個人事業税の納付(第2期分)

個人事業税の納税通知書に基づき、第2期分の個人事業税を納付します。

11月30日都道府県税事務所
重要

年末調整の準備(従業員がいる場合)

従業員がいる場合、年末調整の準備を開始します。従業員から扶養控除等申告書や保険料控除証明書などを回収しましょう。

12月末まで税務署

12月

年間で最も忙しい年末商戦の時期です。売上と経費の最終確認、来年の事業計画と税務計画の立案も始めましょう。

重要

年末調整の実施(従業員がいる場合)

従業員がいる場合、年末調整を実施し、源泉所得税の過不足を調整します。

12月31日税務署
最重要

期末棚卸の実施

12月31日時点の在庫を正確に棚卸し、棚卸資産の評価を行います。一点物が多い古着屋にとっては特に重要な作業です。

12月31日自己管理

商品の劣化やトレンド落ちによる評価損の計上も検討できます。古物台帳と突き合わせながら、商品の状態や仕入れ時期を正確に把握しましょう。

棚卸表
重要

古物台帳の最終整理

その年の古物台帳の記載漏れがないか最終確認を行い、適切に保管します。翌年の確定申告に備えましょう。

12月31日自己管理
古物台帳

年間まとめ

古着屋経営における年間税務は、一点物という特性から棚卸資産の評価が特に重要です。また、海外からの仕入れや一般個人からの買取、複数のECプラットフォーム利用による手数料管理、古物営業法に基づく古物台帳の記録義務など、多岐にわたる専門知識が求められます。このカレンダーを参考に、計画的に準備を進め、税務上のリスクを軽減し、古着屋経営を円滑に進めていきましょう。不明な点は必ず税理士に相談し、適切な判断を仰いでください。

確定申告に向けた準備スケジュール

1

日々の取引をクラウド会計ソフトに記帳し、領収書やレシートを整理する。古物台帳への記録を徹底する。

2

売上・経費の集計を始め、未回収の売掛金や未払いの買掛金がないか確認する。海外買い付け時の為替レートも確認。

3

期末棚卸を正確に実施し、棚卸表を作成する。一点物の状態変化も考慮に入れる。ECサイト手数料や海外関連費用の最終確認。

4

確定申告書と青色申告決算書(消費税申告書)を作成し、必要書類を添付して期限内に提出・納付する。

プロのアドバイス

  • 一点物の古着の在庫管理は特に重要です。期末棚卸では、商品の状態変化や売れ残りによる評価損の可能性も考慮に入れ、正確な評価が適正な売上原価算出に直結します。
  • 一般個人からの買取は、適格請求書がないため消費税の仕入税額控除の対象外です。仕入れ先に応じて消費税処理を区別する帳簿付けが求められます。この経費を落とせるかは税理士に相談してください。
  • 海外買い付け時の航空券や宿泊費、現地交通費は、仕入れに付随する費用として『仕入高』に含めるか、『旅費交通費』として計上します。為替レートの変動にも注意が必要です。
  • 古物営業法に基づき、古物台帳への正確な記録と3年間の保存義務があります。税務調査時にも確認される可能性があるため、日々の記帳と合わせて適切に管理しましょう。
  • Shopify、BASE、メルカリShopsなど複数のECプラットフォームを利用する場合、それぞれの月額利用料、販売手数料、決済手数料を『支払手数料』として漏れなく計上し、プラットフォームごとの売上と費用を明確に区分しましょう。

免責事項:この情報は一般的な参考情報であり、個別の税務判断を提供するものではありません。具体的な税務上の判断については、税理士等の専門家にご相談ください。