経理・税務ガイド

Web制作会社の年間税務カレンダー【2026年版】

申告前提

個人事業主・12月決算を前提

月別イベント

25

Web制作会社の経営者様、個人事業主様へ。日々変化するWeb業界のトレンドを追いながら、経理・税務の管理も適切に行うことは事業の安定に不可欠です。この年間税務カレンダーでは、2026年にWeb制作会社が押さえるべき主要な税務イベントや届出の期限を月別にまとめました。特に、外注費の源泉徴収やSaaS利用料の処理、インボイス制度への対応など、Web制作特有の注意点を盛り込んでいます。計画的な準備で、安心して事業に専念できるようサポートします。

1月

年末年始にかけての駆け込み案件の納品が集中し、売上計上と請求書発行のタイミングが重要になります。年度末の棚卸(もしあれば)も意識しましょう。

最重要

法定調書合計表・支払調書提出

前年中に支払った報酬・料金(特にフリーランスデザイナーやライターへの外注費)に関して、税務署へ提出する書類です。

1月31日税務署

Web制作ではフリーランスへの外注が多く発生します。デザインやイラスト制作の報酬は源泉徴収対象ですが、プログラミングやコーディングは原則対象外です。源泉徴収の要否を誤ると追徴課税のリスクがあるため、特に注意が必要です。

給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書
重要

償却資産税申告

1月1日時点で所有する償却資産(固定資産税の対象となる事業用資産)について、その所在地の市町村に申告します。

1月31日市町村(都税事務所)

高価なMacや外部モニター、サーバー機器など、10万円以上の事業用PC関連機器は償却資産に該当します。特にPCは買い替えサイクルが短いため、漏れなく適切に申告しましょう。

償却資産申告書
最重要

源泉所得税・住民税の納付(12月分)

従業員がいる場合、前年12月分の給与から源泉徴収した所得税と住民税を納付します。納期特例の適用を受けている場合は、この月は納付がありません。

1月10日税務署
所得税徴収高計算書(納付書)

2月

確定申告の準備で最も忙しくなる時期です。この時期に顧客への提案や開発作業と並行して経理作業を進めるため、日頃からの記帳が重要になります。

重要

所得税確定申告の準備本格化

青色申告決算書・収支内訳書作成、会計ソフトへの入力最終確認、領収書・請求書の整理など、確定申告に向けた最終準備を行います。

2月上旬〜中旬自己管理

Adobe Creative CloudやFigma等のSaaS利用料、ドメイン・サーバー費用、書籍代、オンライン講座費用など、Web制作特有の経費を漏れなく計上できているか確認しましょう。特に年間一括払いのSaaSは前払費用として期間按分が必要です。

領収書請求書通帳明細クレジットカード明細

3月

今月

確定申告のピーク月。e-Taxでの提出や税理士への依頼を検討し、スムーズな申告を心がけましょう。

最重要

所得税確定申告

前年1月1日〜12月31日までの所得について、所得税の確定申告書を提出し、納税します。

3月15日税務署

自宅を事務所として利用している場合、家事按分を適切に行いましょう。電気代、通信費、地代家賃などが対象です。按分割合の根拠を明確にしておくことが重要です。個別の経費計上の可否は税理士に相談してください。

所得税確定申告書青色申告決算書(または収支内訳書)控除証明書
最重要

消費税確定申告(課税事業者)

課税事業者である場合、前年1月1日〜12月31日までの消費税について、確定申告書を提出し、納税します。

3月31日税務署

インボイス制度により、適格請求書発行事業者からの仕入れが仕入税額控除の対象となります。外注先が免税事業者の場合、控除が受けられないケースがあるため、仕入れ先の内訳を事前に確認しておきましょう。

消費税確定申告書

4月

確定申告が終わり、一息つける時期ですが、次年度の事業計画や新たな技術導入の検討など、未来への投資を考える良い機会です。

最重要

源泉所得税・住民税の納付(3月分)

従業員がいる場合、3月分の給与から源泉徴収した所得税と住民税を納付します。

4月10日税務署
所得税徴収高計算書(納付書)

5月

ゴールデンウィーク明けは、新規プロジェクトの立ち上げや既存サイトのリニューアル案件が増える傾向にあります。契約書の確認を念入りに行いましょう。

個人事業税の納税通知書送付

都道府県から個人事業税の納税通知書が送付されます。通常、8月と11月の年2回に分けて納付します。

5月下旬〜6月上旬都道府県税事務所
個人事業税納税通知書
最重要

源泉所得税・住民税の納付(4月分)

従業員がいる場合、4月分の給与から源泉徴収した所得税と住民税を納付します。

5月10日税務署
所得税徴収高計算書(納付書)

6月

梅雨の時期ですが、ウェブ業界では夏に向けてのキャンペーンサイト制作やSEO対策の依頼が増えることがあります。長期的な視点で顧客との関係を構築しましょう。

重要

住民税の納付(普通徴収第1期)

個人事業主の場合、住民税の納税通知書に基づき、第1期分の住民税を納付します。

6月30日市町村
住民税納税通知書
最重要

源泉所得税・住民税の納付(5月分)

従業員がいる場合、5月分の給与から源泉徴収した所得税と住民税を納付します。

6月10日税務署
所得税徴収高計算書(納付書)

7月

上半期の振り返りを行い、売上や経費の状況を確認しましょう。予定納税がある場合は資金繰りにも影響するため、計画的な準備が必要です。

重要

所得税の予定納税(第1期)

前年の所得税額が一定額以上だった場合、今年の所得税の一部を前払いする制度です。税務署から通知書が届きます。

7月31日税務署

事業の売上が前年より大きく減少している場合は、予定納税額の減額申請が可能です。新規事業の立ち上げや大規模プロジェクトの終了で変動がある場合は検討しましょう。

予定納税額の通知書
最重要

源泉所得税・住民税の納付(納期特例適用者:1〜6月分)

納期特例の承認を受けている場合、1月から6月までの源泉所得税と住民税をまとめて納付します。

7月10日税務署
所得税徴収高計算書(納付書)
最重要

源泉所得税・住民税の納付(6月分)

従業員がいる場合、6月分の給与から源泉徴収した所得税と住民税を納付します。

7月10日税務署
所得税徴収高計算書(納付書)

8月

夏休みシーズンですが、Web業界は比較的安定した時期です。下半期の戦略を練る良い機会です。

重要

個人事業税の納付(第1期)

都道府県から送付された納税通知書に基づき、個人事業税の第1期分を納付します。

8月31日都道府県税事務所
個人事業税納税通知書
最重要

源泉所得税・住民税の納付(7月分)

従業員がいる場合、7月分の給与から源泉徴収した所得税と住民税を納付します。

8月10日税務署
所得税徴収高計算書(納付書)

9月

秋は企業のプロモーション活動が活発化し、Webサイトの更新や新規制作依頼が増える傾向にあります。インボイス制度対応で、外注先との契約内容を再確認しましょう。

重要

住民税の納付(普通徴収第2期)

個人事業主の場合、住民税の納税通知書に基づき、第2期分の住民税を納付します。

9月30日市町村
住民税納税通知書
最重要

源泉所得税・住民税の納付(8月分)

従業員がいる場合、8月分の給与から源泉徴収した所得税と住民税を納付します。

9月10日税務署
所得税徴収高計算書(納付書)

10月

年末商戦に向けたWebサイトの改修やランディングページ制作の依頼が増加します。早めの準備と顧客との綿密な連携が成功の鍵です。

重要

所得税の予定納税(第2期)

前年の所得税額が一定額以上だった場合、今年の所得税の一部を前払いする制度です。第2期分を納付します。

10月31日税務署

事業年度の終わりが見えてくる時期です。年間の損益状況を概算し、予定納税額が実態と合っているか確認しましょう。もし大幅な変動がある場合は、減額申請も検討できます。

予定納税額の通知書
最重要

源泉所得税・住民税の納付(9月分)

従業員がいる場合、9月分の給与から源泉徴収した所得税と住民税を納付します。

10月10日税務署
所得税徴収高計算書(納付書)

11月

年末に向けてのラストスパートです。この時期の案件は、年内納品を求められることが多いため、スケジュール管理が非常に重要になります。

重要

個人事業税の納付(第2期)

都道府県から送付された納税通知書に基づき、個人事業税の第2期分を納付します。

11月30日都道府県税事務所
個人事業税納税通知書
最重要

源泉所得税・住民税の納付(10月分)

従業員がいる場合、10月分の給与から源泉徴収した所得税と住民税を納付します。

11月10日税務署
所得税徴収高計算書(納付書)

12月

年内最後の案件対応と、来年に向けた準備が重なる時期です。経費の使い残しがないか、翌年への繰り越しは適切かなど、会計処理の最終確認を行いましょう。

最重要

年末調整

従業員がいる場合、年末調整を実施し、所得税の過不足を精算します。従業員から各種控除申告書を回収します。

12月下旬税務署
扶養控除等申告書保険料控除申告書
最重要

源泉所得税・住民税の納付(11月分)

従業員がいる場合、11月分の給与から源泉徴収した所得税と住民税を納付します。

12月10日税務署
所得税徴収高計算書(納付書)

小規模企業共済の掛金納付

小規模企業共済に加入している場合、掛金を年払いしている場合はこの時期に納付します。全額所得控除の対象です。

12月31日中小機構

事業主の退職金制度として活用でき、節税効果も高いです。まだ加入していない場合は検討の余地があります。

掛金払込証明書

年間まとめ

Web制作会社にとって、年間を通じて外注費の源泉徴収、SaaS利用料の適切な計上、そしてインボイス制度への対応が特に重要な税務ポイントとなります。確定申告時期には多くの書類が必要となるため、日々の記帳と領収書・請求書の整理を怠らないことが、スムーズな税務処理の鍵です。計画的な準備と適切な会計処理で、事業に集中できる体制を整えましょう。

確定申告に向けた準備スケジュール

1

会計ソフトへの入力状況を確認し、未入力の取引を消化。特に高額な経費や固定資産の取得がないかチェック。

2

すべての領収書・請求書、銀行口座・クレジットカード明細を整理し、会計データとの突合を開始。外注先からの支払調書や源泉徴収票を確認。

3

青色申告決算書(または収支内訳書)の作成を開始。家事按分比率の再確認、減価償却費の計算、各種控除証明書の準備を完了。

4

確定申告書を最終確認し、e-Taxまたは郵送で提出。納税準備(振替納税の利用検討)を行い、控えを保管。

プロのアドバイス

  • フリーランスへの外注費は、デザイン・イラスト制作報酬とプログラミング報酬で源泉徴収の要否が異なります。特にデザインやライティングは源泉徴収対象(10.21%)なので、支払調書作成時に注意し、漏れなく実施しましょう。
  • Adobe Creative CloudやFigmaなど、年間一括払いのSaaS利用料は、原則として「前払費用」として月割りで経費計上します。短期前払費用の特例を適用する場合は、毎年継続して同じ処理を行うことが条件です。
  • 顧客サイトのドメイン・サーバー費用を立て替えて支払った場合、自社の経費ではなく「立替金」として処理し、顧客への請求書に明記して回収しましょう。自社サイト分は「通信費」です。
  • Webサイト制作の売上計上は、原則として納品日(顧客の検収日)基準です。入金日基準にすると、決算期をまたぐ場合に売上計上漏れとなるリスクがあるため注意が必要です。
  • 高価なPCや外部モニターなど、10万円以上の開発機材は固定資産として減価償却が必要です。10万円未満は消耗品費、20万円未満は一括償却資産(3年均等償却)も選択できるため、会計処理を検討しましょう。個別の税務判断は税理士に相談してください。

免責事項:この情報は一般的な参考情報であり、個別の税務判断を提供するものではありません。具体的な税務上の判断については、税理士等の専門家にご相談ください。