経理・税務ガイド

デイサービス(通所介護)の年間税務カレンダー【2026年版】

申告前提

主に法人事業者を前提とし、12月決算の場合のスケジュールを記載しています。個人事業主の方も参考にできますが、一部異なる点がありますのでご注意ください。

月別イベント

21

デイサービス(通所介護)事業者の皆様、日々の介護サービス提供に加え、経理・税務業務も多岐にわたります。特に介護報酬は消費税非課税でありながら、仕入れには消費税がかかるため、消費税の課税売上割合の計算やインボイス制度への理解が重要です。また、人件費が事業費の大部分を占めるため、処遇改善加算の適切な管理と実績報告は税務上も大きなポイントとなります。この年間税務カレンダーは、2026年の税務関連の主要なイベントや届出の期限を月別にまとめました。介護事業特有の注意点も盛り込んでいますので、計画的な経理処理と申告準備にご活用ください。個別の判断は税理士にご相談ください。

1月

年末調整後の事務処理が落ち着き、確定申告に向けた準備を始める時期です。介護報酬改定の情報も注視しましょう。

最重要

法定調書提出

前年中に支払った給与や報酬、不動産の使用料などについて、税務署に報告する書類です。年末調整の結果も含まれます。

1月31日税務署

介護職員や機能訓練指導員、看護職員など、多岐にわたる職種の給与・報酬を正確に集計する必要があります。

給与所得の源泉徴収票報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書
最重要

償却資産申告書提出

土地・家屋以外の事業用資産(送迎車、特殊浴槽、リハビリ機器など)に対し課される固定資産税の申告です。

1月31日市町村役場

送迎車両、特殊浴槽、機能訓練機器、介護ソフトなど、デイサービス特有の資産を漏れなく申告しましょう。取得価額10万円以上の資産が対象です。

償却資産申告書

2月

確定申告の準備で最も忙しい時期です。介護報酬の入金確認や未収金計上を徹底しましょう。

最重要

法人税・消費税の確定申告準備(12月決算法人)

前年度の事業活動に対する法人税、地方法人税、消費税の申告・納税に向けた最終準備を進めます。決算書の作成が主な業務です。

翌年3月31日税務署

介護報酬は非課税売上ですが、自費サービスや物品販売があれば課税売上となります。消費税の課税売上割合の計算に注意が必要です。

決算書法人税申告書消費税申告書
重要

所得税の確定申告(個人事業主)

個人事業主の場合、前年1月1日〜12月31日までの所得を計算し、所得税の確定申告を行います。青色申告決算書や収支内訳書の作成が必要です。

翌年3月15日税務署

開業当初の個人事業主は、青色申告承認申請書を提出しているか確認しましょう。介護事業の経費は多岐にわたるため、日々の記帳が重要です。

青色申告決算書所得税確定申告書

3月

今月

年度末に向け、新年度の事業計画や採用計画を具体化する時期です。介護報酬改定の情報発表があれば、即座に対応を検討しましょう。

最重要

法人税・消費税の確定申告・納付(1月決算法人)

1月決算の法人の場合、決算日から2ヶ月以内に法人税、地方法人税、消費税の確定申告と納税を行います。

3月31日税務署、都道府県税事務所、市区町村

介護事業は人件費割合が高いため、役員報酬や給与の適正性を再確認しましょう。過度な役員報酬は税務リスクになることがあります。

法人税申告書消費税申告書決算書
最重要

所得税の確定申告・納付期限

個人事業主の所得税確定申告の最終期限です。忘れずに申告・納税を完了しましょう。

3月15日税務署

申告漏れがないか最終チェック。特に送迎費やレクリエーション費など、デイサービス特有の経費計上を再確認してください。個別の判断は税理士にご相談ください。

所得税確定申告書

4月

新年度のスタート。介護報酬の請求サイクルや職員の給与計算など、経理処理の体制を再確認しましょう。

重要

新年度開始・処遇改善加算計画書提出

多くの法人で新年度が始まります。介護職員処遇改善加算等の計画書を都道府県等に提出する時期です。

4月15日都道府県または市町村

処遇改善加算は、計画書の内容と実際の賃金改善状況が一致していることが重要です。税務上も給与支給額と連動するため、正確な計画と実施が求められます。

介護職員処遇改善計画書介護職員等特定処遇改善計画書
最重要

指定更新申請の準備(6年に一度)

介護保険事業所の指定は6年ごとに更新が必要です。該当年度の事業者は、この時期から準備を始めましょう。

指定有効期間満了の約3ヶ月前都道府県または市町村

指定基準(人員・設備・運営)を満たしているか確認し、必要な書類を漏れなく準備します。事業計画書や収支予算書も含まれるため、経理情報が不可欠です。

指定更新申請書付表役員等名簿資産状況を示す書類

5月

年度で最も大きな税務イベントの一つです。確定申告が終われば、一息つける時期でもあります。

最重要

法人税・消費税の確定申告・納付(3月決算法人)

3月決算の法人の場合、決算日から2ヶ月以内に法人税、地方法人税、消費税の確定申告と納税を行います。最も一般的な決算月です。

5月31日税務署、都道府県税事務所、市区町村

介護事業特有の補助金収入(地域医療介護総合確保基金など)がある場合、圧縮記帳の適用を検討し、税理士に相談してください。

法人税申告書消費税申告書決算書

6月

梅雨時期。レクリエーションの内容を室内向けに工夫したり、送迎ルートの安全確認を徹底したりする時期です。

住民税特別徴収税額の通知

従業員の給与から天引きする住民税の金額が、市町村から事業所に通知されます。翌月からの徴収額を確認しましょう。

通知受領後、翌月徴収開始市町村役場

介護職員の入れ替わりが多い時期でもあるため、特別徴収の対象者や金額を正確に把握することが重要です。

重要

ケアマネジャーとの連携強化

利用者の紹介元であるケアマネジャーとの定期的な情報交換や関係構築は、事業の安定に不可欠です。経費計上可能な接待交際費のルールを確認しましょう。

継続的に実施社内外

お中元やお歳暮、情報交換会の費用など、介護事業特有の交際費は、税務上の損金算入限度額に注意して管理しましょう。個別の判断は税理士にご相談ください。

7月

上半期の締めくくり。従業員の社会保険・労働保険に関する手続きが集中します。処遇改善加算の実績報告書の提出もこの時期の自治体が多いです。

最重要

源泉所得税の納付(納期特例適用者)

1月から6月までの源泉所得税をまとめて納付する期限です。納期特例の承認を受けている事業者が対象です。

7月10日税務署

介護職員の給与や外部講師への謝礼など、源泉徴収した所得税を漏れなく集計・納付しましょう。

所得税徴収高計算書
最重要

労働保険の年度更新

前年度の確定保険料と新年度の概算保険料を申告・納付します。従業員の人数や給与総額に基づきます。

7月10日労働基準監督署、ハローワーク

介護事業は人件費が高く、労働保険料も高額になりがちです。処遇改善加算等による賃金改善分も給与総額に含まれるため注意が必要です。

労働保険料等算定基礎賃金集計表労働保険概算・確定保険料申告書
最重要

社会保険の算定基礎届

社会保険料の計算基礎となる標準報酬月額を見直すための届出です。4月・5月・6月の給与額を基に算出します。

7月10日年金事務所

処遇改善加算による賃金改善が反映されるため、職員の社会保険料も変動する可能性があります。正確な給与計算が重要です。

健康保険・厚生年金保険被保険者標準報酬月額算定基礎届

8月

夏休み期間は利用者の変動があるかもしれません。レクリエーションやイベントで集客を工夫する時期です。

重要

法人税・消費税の中間申告・納付(2月決算法人)

2月決算の法人の場合、事業年度開始から6ヶ月経過後2ヶ月以内に中間申告と納税を行います。

8月31日税務署

介護事業は季節変動が少ないため、前期の実績に基づく中間申告(予定申告)が一般的です。資金繰り計画に含めておきましょう。

法人税中間申告書消費税中間申告書

9月

敬老の日などイベントが多く、レクリエーションが活発になる時期です。消耗品費の増加に注意しましょう。

備品・消耗品の棚卸しと管理

レクリエーション用品、介護用品、事務用品などの消耗品や備品の在庫を確認し、管理体制を見直しましょう。

定期的に実施社内

紙おむつや消毒液などの衛生用品、機能訓練で使用する器具など、日常的に消費される品目の管理は経費計上にも直結します。棚卸しは決算時に特に重要です。

10月

年末に向けて、送迎車のメンテナンスや施設設備の点検を計画する時期です。大規模修繕は早期に計画を立てましょう。

重要

インボイス制度対応状況の確認

インボイス制度開始から1年が経過し、運用状況を確認します。仕入れ先からの適格請求書発行状況や保存状況を再確認しましょう。

継続的に実施社内

介護保険サービスは非課税ですが、食材の仕入れ、送迎車の修理、事務用品購入など課税仕入れは多く発生します。仕入税額控除を受けるためには適格請求書の保存が必須です。

11月

年末年始の利用者対応や職員のシフト調整で忙しくなります。早めに年末調整の準備を進めましょう。

重要

法人税・消費税の中間申告・納付(3月決算法人)

3月決算の法人の場合、事業年度開始から6ヶ月経過後2ヶ月以内に中間申告と納税を行います。

11月30日税務署

介護報酬の入金状況を基に、正確な中間納税額を算出しましょう。資金繰りに影響するため、計画的な準備が重要です。

法人税中間申告書消費税中間申告書
最重要

年末調整の準備開始

従業員の扶養控除等申告書や保険料控除申告書などを回収し、年末調整の準備を始めます。

12月給与計算時までに社内

介護職員の多くはパート・アルバイトであるため、扶養控除や社会保険料控除の適用状況を個別に確認することが重要です。

扶養控除等申告書保険料控除申告書

12月

年間で最も多忙な時期の一つです。年末年始の営業体制や職員の労務管理、そして翌年の確定申告に向けた最終準備を着実に進めましょう。

最重要

年末調整の実施・完了

従業員の年間の所得税を確定させ、過不足を調整します。12月の給与で還付または徴収を行います。

12月給与支払日まで社内

処遇改善加算による賃金改善額も所得税の対象となります。正確な計算と処理を行いましょう。

源泉徴収簿給与所得の源泉徴収票
最重要

処遇改善加算実績報告書準備

前年度の介護職員処遇改善加算等の実績報告書作成に向け、賃金台帳や就業規則、支給実績などの資料を整理・確認します。

翌年7月末(自治体により異なる)社内(最終提出先:都道府県または市町村)

加算額が職員の賃金改善に全額充当されているか、税務調査でも確認されるポイントです。領収書や帳簿と照合し、整合性を確保しましょう。

介護職員処遇改善実績報告書賃金台帳

年間まとめ

デイサービス事業の税務は、介護報酬の非課税区分や多額の人件費、処遇改善加算の管理など、特有の要素が複雑に絡み合います。年間を通じて、法人税・消費税の申告・納付、源泉所得税の処理、固定資産税の申告、そして何よりも処遇改善加算の実績報告が重要なイベントとなります。計画的な準備と適切な経理処理が、健全な事業運営の鍵を握ります。不明点は早めに税理士に相談し、適切なアドバイスを受けることが重要です。

確定申告に向けた準備スケジュール

1

帳簿の整理・確認(未収介護報酬、未払金、仮払金等の残高確認)。固定資産台帳の更新。

2

決算整理事項の洗い出し(減価償却費の計算、引当金の計上など)。顧問税理士との打ち合わせ。

3

決算書の作成開始。処遇改善加算の実績報告書に必要な資料の最終確認。

4

法人税・消費税・地方税の確定申告書作成、添付書類の準備。

5

納税資金の確認と準備。電子申告の最終確認。

プロのアドバイス

  • 処遇改善加算の帳簿管理: 処遇改善加算は全額を職員の賃金改善に充てる義務があります。加算として受け取った金額と、実際に支給した給与・手当の記録が一致しているか、常に確認しましょう。実績報告書と帳簿の整合性が税務調査で問われることがあります。
  • 介護報酬の売上計上: 介護報酬は国保連への請求月ではなく、サービスを提供した月に売上計上するのが原則です。月遅れ請求も多いため、未収金計上を忘れずに行いましょう。
  • 課税・非課税売上の区分経理: 介護保険サービスは非課税売上ですが、配食サービスやレクリエーションの実費徴収など、一部自費サービスは課税売上となる場合があります。消費税の課税売上割合に影響するため、明確な区分経理が必須です。
  • 送迎車両の減価償却: 送迎車両は福祉車両であっても、税法上の耐用年数は普通自動車(6年)または小型車(4年)が適用されます。取得時の車両区分を正確に把握し、適切な減価償却を行いましょう。
  • 補助金収入と圧縮記帳: 開業時や設備投資で受けた補助金(例:地域医療介護総合確保基金)は、原則として収益として課税対象となりますが、補助金で購入した固定資産に対して圧縮記帳を適用することで、課税を繰り延べできる場合があります。適用要件は税理士に確認しましょう。

免責事項:この情報は一般的な参考情報であり、個別の税務判断を提供するものではありません。具体的な税務上の判断については、税理士等の専門家にご相談ください。